なかなかNOと言えない ~そんな自分から脱却するには〜

「すみませんが、この仕事をお願いできますか?」

手持ちの業務でてんてこまいな時に限って、このような依頼が来ることがありますよね。そんな時、あなたはどう対応していますか? きっぱりとNOと言える方はいいですが、なかなか断れずに依頼を受けてしまい、仕事はたまる一方、ストレスレベルも右肩上がり……という方も多いのでは。

なぜ私たちは、なかなかNOと言えないのでしょう。やりづらい同僚だと思われたくない、相手をがっかりさせたくない、嫌われたくない……。さまざまな理由があるかと思います。でも、それですべての仕事を受けるがままにしていたら、いつかパンクしてしまいますよね。では、どうすればよいのでしょうか。

まずは、「断ったら相手に嫌われてしまうかも」という考えを払拭することが大切です。特にアメリカはいい意味でドライなので、ビジネスの場で相手の要求を断っても、その後の人間関係に影響することはまずありません。なので、あまり細かいことまで考えずとも大丈夫!

といっても、ストレートにお断りするのはハードルが高いですよね。そんな時は、BATNA(バトナ)というアプローチが効果的です。BATNAとは、「Best Alternative To Negotiated Agreement」の略で、日本語にすると「交渉相手から提示された案以外で、もっとも望ましい代替案」といった意味です。かみ砕いて言うと、「今はあなたの依頼を受けることはできないけれど、代わりにこのように対応するのはどう?」という代替案を提示するやり方です。

たとえば、
「今週は別件があって対応できないのですが、来週なら大丈夫です。それでもよろしいでしょうか?」
「ご依頼の資料はすぐ準備できませんが、代わりにこちらの資料はどうでしょう? 内容はほぼ同じですよ。」
といった回答方法です。

相手の依頼を断りつつも、代替案を提示することで協力的な姿勢を見せることができるので、単純にNOと断るよりも相手の印象が大分良くなります。もし次回何かをお断りしなければいけない機会ができたら、ぜひ実践してみてください。不安な方は、まず小さな依頼案件から練習してみましょう。うまくいかなかったとしても、ダメージはそう大きくないはずです。

相手の依頼を断った時に、日本人がすぐ言ってしまいがちなのが「I am sorry」です。確かに依頼主の希望に添えなかったというのは事実ですが、特にあなたの不手際だったわけではありません。I am sorryを使うと一見物腰が柔らかくなりますが、多用しすぎるとあたかもあなたの方が悪者となってしまいがちです。

そこでおすすめなのが、「I am sorry」ではなく「Thank you」です。お断りした後に相手が納得してくれたら、理解してくれてありがとうの意味をこめて、ぜひ「Thank you」と言ってみましょう。

さて、タチが悪いのは、「自分にたくさん依頼が来る=会社にとって必要な人間と思われている」と勘違いし、依頼案件を片っぱしから受け入れてしまっているタイプの人たちです。こんな人に限って、びっちりと埋まった自分のTo Doリストを眺め、「あぁ、なんて自分は忙しいのだろう」と半ば自己満足に陥っています。

確かに、誰かに必要とされていると思えるのは嬉しいことです。ですが、その依頼は本当にあなたでないといけない案件でしょうか? 自分は本当に必要とされているのか、それとも単に依頼をしやすい便利人となってしまっているのか……そこをきちんと見極められるようにしたいですね。

さて、ここまでNOの伝え方についてのアドバイスをしてきましたが、なんでもかんでも断ればいいというものではありません。むしろ自分が対応できると判断した案件については、積極的にYESという姿勢でサポートしていきたいですね。上司や同僚たちと良い関係を築いておくと業務もスムーズに進めやすいですし、いつか今度は自分がヘルプが必要な時に、相手へ依頼をしやすくなります。

社員一人ひとりが無理のない範囲で協力し合いながら、一緒に気持ち良く仕事をしていきたいものですね!

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北村祐子 (Yuko Kitamura)

北村祐子 (Yuko Kitamura)

ライタープロフィール

在米23年。津田塾大学を卒業後に渡米し、ルイジアナ大学でMBAを取得後、テキサス州ダラスにある現在の会社で勤務すること20年目。ディレクターとして半導体関係の部品サプライチェーン業務に関わるかたわら、アメリカで働く日本人女性を応援しようと日々模索中。モットーは、「鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス」。

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