- Home
- 学び・教育
- 子供の教育in USA
- 海外教育Navi 第27回 〜子どもだけ日本へ帰国、高校の選び方〜〈前編〉
海外教育Navi 第27回
〜子どもだけ日本へ帰国、高校の選び方〜〈前編〉
記事提供:月刊『海外子女教育』(公益財団法人 海外子女教育振興財団)
- 2019年5月1日
海外勤務にともなう子育てや日本語教育には、親も子どもも苦労することが多いのが現状。そんな駐在員のご家族のために、赴任時・海外勤務中・帰任時によく聞くお悩みを、海外子女教育振興財団の教育相談員等が、一つひとつ解決すべくアドバイスをお届けします。
Q.高校入学に合わせて子どもだけ日本に帰国させることになりました。寮に入れる予定ですが、学校を含めてどのように決めればよいでしょうか。
赴任が決まったときにまず考えるのは、家族を帯同するかどうかということではないでしょうか。
帯同するとなった場合は、部活の試合が終わってから、ピアノの発表会が済んでから、学年によっては卒業式を終えてからなど、そのときの子どもの状況も考え、さらには滞在期間から中学や高校、大学の受験の時期を逆算し、帰国時期までも考えながら、家族はいつどのタイミングで出発しようかと、何度も家族会議をしてスタートを切られるかたが多いのではないでしょうか。そこまでの準備をしておいても赴任の期間が変更になって急な帰国になったり、思いのほか滞在期間が延びたりして戸惑われるケースもよくあります。
今回はさまざまな事情で本人だけが帰国し、寮生活を送ることになる場合に考えなければいけないことについてまとめてみましょう。
まずは心の整理を
家族そろって渡航し、楽しい海外生活を送っていて、家族そろって帰国できると思っていたところに自分だけが帰国するという選択をせざるを得なくなったとき、子どもの気持ちはきっと複雑で不安いっぱいだろうと思います。
そこで大切なのは、まず本人の心配であったり希望であったり、描いている生活の姿を十分に聞き、それをしっかり受け止め、助言しながら心の整理をさせてあげることです。
寮のある学校
日本全国に高等学校は、国公立は3501校、私立は1321校あり(2017年度文部科学省「学校基本調査」より)、そのうちの400校以上に寮があります。
また高校段階での帰国生の受け入れ校は、中等教育学校、高等専門学校、在外教育施設等さまざまな校種を合わせると約500校あり、そのうちの約100校に寮が設置されています(海外子女教育振興財団『帰国子女のための学校便覧2018』より)。
小学校から寮のある学校もあります(以下の表参照)。寮のある学校はたくさんありますが、無造作に選べばよいということではありません。しっかりと考えたうえで決めることがのちのちの学校生活にとってとても大切になってきます。
寮にもいろいろな特徴が
寮によっていろいろな違いがありますので、そのいくつかを紹介してみます。
入寮対象者
①全寮制(在籍児童生徒全員が寮生活)
②一部全寮制(スポーツ推薦生のみ等)
③希望制(希望者だけが寮生活)
※希望制であっても条件が決められていて、希望者が全員入寮できるとは限らない場合もあります。
寮の形態
①通年で在寮が可能
②年末年始や長期休暇中は閉寮
③毎週日曜日や休日は閉寮
生活環境
①個室
②一室に少人数で生活
③大部屋に多人数で生活
学習環境
①個別に学習
②学習室で集団学習
③特に制約はなく個人の自由
その他
①学年ごとに部屋が分かれている。
②同室に学年の異なる人が合わさっている。
③朝や夕(夜)全体での点呼や集会がある。
まだまだ違いはあります。なかには個室で各部屋にバストイレが備わっていてビジネスホテルのような雰囲気のところがあったり、シャワーしかないところがあったりもします。また全寮制の場合、外出等の規則がきちんと決まっていて自由行動にかなりの制約があるところもあります。
このように多くの点で異なっているところがあり、一概に「寮」といってもさまざまです。一見、「すごい!」「羨ましい!」と思う場合もあるかもしれませんが、その判断はちょっと待ってください。これらの違いは決してよい悪いというものではないのです。それぞれの学校が子どもたちに、どのような力をつけていきたいか、どんな人に育っていってほしいかといった方針のもとに教育の一環として寮生活があり、施設設備にも配慮がなされていると考えてください。
たとえば「寮生活を通して高い道徳心はもちろん、対人関係力・自己管理力・行動力といった、社会人としての基礎力を身につけさせたい」「相手の立場に立って物事を考えられる人になってほしい」「人と人とのつき合いを大切にしながら、他人を家族と同様に考えて共同生活をする習慣を身につけさせたい」あるいは「難関国公立大学を目指すための寮教育を行う」など、目標としている内容も異なっているのです。
→「第28回 〜子どもだけ日本へ帰国、高校の選び方〜〈後編〉」を読む。
海外子女教育振興財団 教育相談員
山岡 莊平
奈良県の公立小学校にて教諭、教頭、校長として勤務。その間リマ、バハレーン、イスラマバード日本人学校に各3年間教諭、校長として勤務。その後、奈良教育大学非常勤講師。2008年度より海外子女教育振興財団の教育相談員、13年度より関西分室長。
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします