海外教育Navi 第34回
〜帰国生枠での受験で気をつけるべきこと〜〈後編〉

記事提供:月刊『海外子女教育』(公益財団法人 海外子女教育振興財団)

海外勤務にともなう子育てや日本語教育には、親も子どもも苦労することが多いのが現状。そんな駐在員のご家族のために、赴任時・海外勤務中・帰任時によく聞くお悩みを、海外子女教育振興財団の教育相談員等が、一つひとつ解決すべくアドバイスをお届けします。

Q.国公立を含め、帰国生枠での受験を考えています。気をつけるべきことを教えてください。

前回のコラムでは、小学校、中学校における受け入れの状況を説明しました(前回記事へ)。今回はその続きをお話しします。

高等学校における受け入れ

我が国の高等学校は義務教育ではありませんので、高等学校に入学・編入するためには、国公立を含めて選考試験を受けて合格する必要があります。

さらに帰国生枠での受験資格の条件は各校まちまちです。一般的には、海外滞在期間2年以上、帰国後1年以内等の条件を課している場合が多いようです。これらの資格条件等は、公立学校は都道府県教育委員会、私立学校は学校ごとに独自に決めています。

高等学校に編入する場合は、海外の高等学校段階での取得単位をもとに編入可能な学年が決定されますが、1年生の入学試験を受ける場合は、海外において9カ年の教育課程を修了していることが条件になりますので注意が必要です。

日本人学校中学部を卒業、あるいは日本の中学校に編入してその卒業資格を持って受験すれば問題ないのですが、現地校やインターナショナルスクールに在籍している場合は9カ年の教育課程を修了する時期が日本とずれることが多く、日本の高等学校が始業する4月には間に合わない場合があります。一般的に北半球の国々では修了時期が6月になることが多いので注意をしてください。

9年生修了または3月までに修了見込みで受験するためには、以下の方法が考えられます。

・日本人学校中学部に編入して受験
・現地校9年生をすでに修了済み
・現地校の9カ年の課程を未修了で帰国した場合は、日本の中学校3年生に編入して受験
・6月に9年生の課程を修了したあとに帰国し、9月編入試験を受ける

各校の選考は3教科型が基本ですが、ほかに以下のような方法がとられています。

・書類選考
・外国語/日本語作文(小論文)
・英語
・面接
・推薦

なお、9カ年の教育課程修了資格(中学校卒業資格)取得について、帰国の時期によっては問題が起こる場合があります。

以前、アメリカの現地校の9年生に在籍していた生徒が急に帰国が決まり、9カ年の課程を修了しないままで3月に日本に戻りました。住居探し等に時間を取られ日本の中学3年への編入を怠ったために、4月の時点で高校入学を希望したものの入学試験を受けることができなくなりました。

我が国においては義務教育年齢を過ぎてしまうと例外を除いて加年齢での中学校編入はできないので、この場合は中学校卒業程度認定試験を受ける必要があります。

くり返しになりますが、「高等学校の受験では、海外の学校教育において9年の課程を修了してくること」あるいは「入学する年の3月末までに9カ年の教育課程を修了見込みであること」を満たさなければ受験資格を得ることができないことに留意してください。

大学における受け入れ

帰国生の大学受験資格は、「海外の学校教育において12年の教育課程を修了した者」「外国における12年の課程相当の学力認定試験に合格した者」「国際バカロレア、アビトゥア、バカロレア等の外国の大学入学資格の保有者」「大学において個別の入学資格審査により認めた者」となっています。

海外において上記の資格を得ないで帰国した場合は国内の高等学校(通信制や単位制を含む)に編入して卒業するか、毎年2回実施される高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)に合格しなければなりません。

帰国生枠の大学入試(AO 枠受験等に含まれる場合も多い)は各大学さまざまで、同一大学においても学部、学科等において資格条件が違いますので注意が必要です。希望する学部や学科の募集要項をよく調べましょう。

各大学では、あらかじめ資格審査を受けることを条件にしている場合が多く、在留年数、海外校で12年の教育課程修了、国際バカロレア、アビトゥア、アメリカのSAT等、国家資格の有無や成績等が確認されます。

さらに、海外の学校の修了時期のずれから、12年間の教育課程を修了してくると日本の大学始業には間に合わなくなるケースもあります。

現在では秋入学制度のある大学も増えてはきましたが、一部の大学を除いては卒業が半年遅れることがあります。一般的には翌年の4月入学に向けて学習の準備をする生徒が多いようです。

終わりに

海外では受験に関する情報等が入りにくいと思いますので、日ごろからお子さんの帰国後についてさまざまな対応を考えておく必要があると思います。一時帰国の折りなどを利用して希望の学校をお子さんと共に訪問したり、国内外で行われている学校説明会や教育相談会等を活用したりして、お子さんに適した学校を選択するようにしてください。

今回の相談員
海外子女教育振興財団教育相談員(2019年3月退職)
熊谷 勝仁

1971年から東京都の公立小学校に勤務し、北京日本人学校やハンブルク日本人学校への赴任を経験。帰国後は教頭、校長、さらに東京都教育庁人事部管理主事を務めた。2008年から新渡戸文化学園で校長・理事、11年から明星学園理事、帝京大学教育学部客員教授を歴任し現在に至る。
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公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

ライタープロフィール

昭和46年(1971)1月、外務省・文部省(現・文部科学省)共管の財団法人として、海外子女教育振興財団(JOES)が設立。日本の経済活動の国際化にともない重要な課題となっている、日本人駐在員が帯同する子どもたちの教育サポートへの取り組みを始める。平成23年(2011)4月には内閣府の認定を受け、公益財団法人へと移行。新たな一歩を踏み出した。現在、海外に在住している義務教育年齢の子どもたちは約8万4000人。JOESは、海外進出企業・団体・帰国子女受入校の互助組織、すなわち良きパートナーとして、持てる機能を十分に発揮し、その使命を果たしてきた。

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