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海外教育Navi 第33回
〜帰国生枠での受験で気をつけるべきこと〜〈前編〉
記事提供:月刊『海外子女教育』(公益財団法人 海外子女教育振興財団)
- 2019年8月2日
海外勤務にともなう子育てや日本語教育には、親も子どもも苦労することが多いのが現状。そんな駐在員のご家族のために、赴任時・海外勤務中・帰任時によく聞くお悩みを、海外子女教育振興財団の教育相談員等が、一つひとつ解決すべくアドバイスをお届けします。
Q.国公立を含め、帰国生枠での受験を考えています。気をつけるべきことを教えてください。
はじめに
海外生活で帰国が近づくにつれて気になるのが、お子さんの帰国後の学校選びではないでしょうか。
お子さんが義務教育の期間中に帰国するのであれば公立学校に編入することができますが、私立中学校等を選択したり、また高校の受験や編入、さらに大学受験等のタイミングで帰国したりする場合は考慮しなければならないことがあります。
ここでは、帰国後の編入および進学についてや、帰国にあたっての注意点などを小学校、中学校、高等学校そして大学の段階に分けて説明したいと思います。
帰国生が選択した学校は、首都圏では私立の比率が多少高くなりますが、全国的に見ますと、小学校段階では約95パーセント、中学校段階では約70パーセント、高校段階では約30パーセントが地元の公立や国立の学校に編入したり、進学したりしています。
帰国後は誰もが学校に適応するのに苦労するものです。海外生活が長い場合はなおさらで、お子さんの性格や能力に合った学校を選ぶことが大切です。
そのためには、学習面だけを優先するのではなく、生活面にも配慮し、可能であれば一時帰国の折りなどに希望する学校を訪問するなどして、学習内容や学校生活をお子さん共々確認することが大切です。
さらに入学時や編入時には、学校の先生がたにお子さんの海外の学校の様子や生活全般について具体的に伝えておくとよいでしょう。
そして、つねに学校と連絡・相談を密にしてお子さんの精神的なシグナル等を見逃さないようにし、もしお子さんがつまずいたときにはできることとできないことを分けて長い目で対応することが重要です。
帰国後の学校選択
小学校における受け入れ
我が国において小学校は義務教育ですので、公立小学校への編入は随時可能です。小学校段階の年齢のお子さんを伴っての帰国であれば、住居とする地域の役所に住民登録をした時点で通う学校と学年が指定されますので、そちらに編入することになります。海外においては、学齢基準日(日本は4月1日)や語学力への配慮の違いから日本と異なる学年に入る場合がありますが、義務教育期間中ですので帰国時には我が国の学齢基準によって本来の学年に戻ることになります。
一般の公立学校を選ばず帰国生を受け入れている私立校等に編入することも可能ですが、編入試験を受けて合格する必要があります。
また、海外生活が長かったなどで特別な指導を受ける必要がある場合は、国立大学附属の帰国子女受け入れ校を選択することが可能です。
ただし、その多くは編入試験の対象学年を小学3年または4年以上としています。なかには日本人学校からの編入は受け入れなかったり、そのまま附属中学校へ内部進学することができなかったりする場合もあります。
中学校における受け入れ
中学校においても義務教育期間中ですので、小学校と同じように指定された公立中学校に通うことができます。
中学校段階においては全国平均で、公立には約65パーセント、特別に指導が必要な生徒が主として通う国立大学の附属には約5パーセントが通っていますが、首都圏では私立を選択する割合が多くなっています。
帰国生全体の約半数が帰国する東京都においては、その半数以上が私立中学校を選択しています。
一般の公立校以外の私立中学校等への入学・編入学を目指すのであれば、各校ごとに定められている海外滞在年数や帰国後の期間等の受験資格条件を満たしていることが必要になります。
さらに、学校によって選考方法もさまざまですので注意が必要です。おもな帰国生枠での受験方式は、以下の通りです。
・一般入試と同一内容で実施(帰国生を別枠・別基準で選考する。)
・一般受験生とほぼ同じ基準で実施
→「第34回 〜帰国生枠での受験で気をつけるべきこと〜〈後編〉」を読む。
海外子女教育振興財団教育相談員(2019年3月退職)
熊谷 勝仁
1971年から東京都の公立小学校に勤務し、北京日本人学校やハンブルク日本人学校への赴任を経験。帰国後は教頭、校長、さらに東京都教育庁人事部管理主事を務めた。2008年から新渡戸文化学園で校長・理事、11年から明星学園理事、帝京大学教育学部客員教授を歴任し現在に至る。
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