特急審査申請費用の増額とブランケットLビザ申請の審査基準

文/デビッド・シンデル(Text by David Sindell)

米国移民局、特急審査申請費用の増額を発表

2019年12月2日より、米国移民局(United States Citizenship and Immigration Services:通称USCIS)は、特定の雇用ベースの申請において、特急審査申請の手数料を増額すると発表しました。なお、米国移民局による最後の申請費用の値上げは2018年でした。

特急審査申請は、オプショナルでI-129フォーム(非移民労働者申請)とI-140フォーム(永住権申請)の申請書において、米国移民局がカレンダー暦で15日間で申請の審査と裁決を行うサービスです。

今回、I-129フォーム(非移民労働者申請)とI-140フォーム(永住権申請)の申請に関する特急審査申請の費用が、現在の1410ドルから1440ドルへと値上がりします。米国移民局によると、今回の特急審査申請費用値上げの理由は、2001年6月から2019年8月の物価のインフレの影響を受けているようです。

国務省、ブランケットLビザ申請の審査基準を明確にする

近日、国務省はブランケットLビザ申請の審査に関するガイドラインを更新し、申請者は「明確で説得力のある証拠」の提出によってビザの適格性を証明しなければならないことになります。さらに、領事役員は新しいガイドラインの規定により、面接中に申請者のブランケットLビザの適格性に関する質問を迅速かつ容易に解決できない場合、ブランケットLビザの申請書を却下するよう指示されたということです。

なお、長年のガイドラインの下では、米国領事館のブランケットL-1ビザ申請者は米国領事館の面接で、申請書が「明らかに許可可能」であることを米国移民局に比べてより明確に証明する必要がありました。新しいガイドラインにより、領事役員がどのブランケットL-1申請を承認するかという基準が変更される訳ではありませんが、全体の申請拒否率がより高くなる可能性はありそうです。そのため、ブランケットL-1ビザ申請者は、申請却下の確率を極力減少するために、面接中に可能な限り明確にブランケットL-1ビザの適格性を説明できるように充分準備する必要があるでしょう。

以上、この2件に関するご質問がある場合は、お気軽にお問い合わせください。

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デビッド・シンデル (David Sindell)

デビッド・シンデル (David Sindell)

ライタープロフィール

NY州およびNJ州弁護士資格。外国法事務弁護士(外弁)として東京第2弁護士会所属。アメリカ移民法弁護士協会所属。日本語、フランス語に堪能。

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