海外教育Navi 第44回
〜日本の社会科と理科の授業に追いつく方法〜〈後編〉

記事提供:月刊『海外子女教育』(公益財団法人 海外子女教育振興財団)

海外勤務にともなう子育てや日本語教育には、親も子どもも苦労することが多いのが現状。そんな駐在員のご家族のために、赴任時・海外勤務中・帰任時によく聞くお悩みを、海外子女教育振興財団の教育相談員等が、一つひとつ解決すべくアドバイスをお届けします。


Q.海外では日本の社会と理科はまったく勉強しませんでした。手っ取り早く追いつく方法を教えてください。

前回のコラムでは、日本とアメリカの小学校の社会科、理科についてご紹介しました(前回記事へ)。今回はその続きをお話しします。

教科書が頼りになる

それでも海外から帰国したときには、何らかの知識を補わなければならないことが出てくるでしょう。それは仕方がないことです。

社会科や理科は内容が多岐にわたっていることもあり、どんな知識が必要なのか、わかりやすくはありません。そのかわり、算数・数学のように一つのことがわかっていないとその先は手も足も出ないということはありません。学校の授業に沿って、そのときそのときに必要なことを補っていくのが最もよい方法でしょう。授業でわからないことがあったらそのままにしておかないで質問したり調べたりすることは非常に大切です。

そんなとき、最も頼りになる資料は教科書です。日本の学校教育の特徴の一つは、学習の内容が「学習指導要領」で厳しくコントロールされていることです。教科書は、出版社によって多少の違いはあっても、学年ごとに割り当てられた内容を過不足なく扱うように編集されています。しかも、大勢の専門家が知恵を出し合い、時間をかけて編集したものなので、内容の正確さは間違いないし、新しい研究の成果もそのつど反映されています。そして、必要な内容がコンパクトにまとめられています。

予習が効果的

教科書の使い方は先生によって違いますが、今日学習していること、明日授業で学ぶことが教科書のどの部分にあたるかを見つけるのはそれほど難しいことではありません。

明日の学習に該当しそうな教科書の部分を読んでおくことはたいへんよい方法です。漢字の読み方を確かめる、わからないところに印をつける、大切だと思うことをノートに書き出しておくなどの準備をしておけば、自信を持って授業に臨めることでしょう。

ある生徒は、ノートのページを上下に分け、下の段にあらかじめ教科書のまとめを書いておき、授業中に上の段を使うという工夫をしていました。毎回予習をして授業に臨むリズムをつくるには少し努力が必要だと思いますが、教科書の内容が理解できない状態では授業時間中にも多くは学べないかもしれません。事前に時間を使うことが結局は効率のよい学習の仕方だと思います。

子どもたちのなかには、海外に行ったときに夜遅くまで宿題に取り組んだ記憶を持っている人もいるでしょう。それを乗り越えた人なら、努力がかならず実を結ぶことも理解できるでしょう。

英語も武器になる

中学校・高等学校で学習する社会科学・自然科学の科目や内容は、国によってそれほど違っているわけではありません。社会科なら地理、歴史、公民など、理科なら物理、化学、生物などの分野がありますが、学問としての基本的な部分は人類共通の財産として世界中で学ばれています。

ですから、大切な内容であればあるほど、日本の教科書と同じ内容を英語で書いた資料を見つけることは難しくないのです。

英語の方が得意な人なら、学校で学んでいる内容が書かれている英文の本を捜して読むこともお勧めです。そのことによって、学習の内容を理解するだけでなく、英語の力も伸ばし、日本語の教科書もわかるようになるということで一石三鳥の学習になります。

学校が変わったり、言語が変わったりすることはたしかに容易なことではありませんが、これからの時代に期待される力を伸ばしていくためには絶好のチャンスといえるのです。

「手っ取り早く」とはいえないかもしれませんが、毎日少しずつ積み重ねていくことがやはりいちばんの近道に違いないでしょう。

今回の相談員
海外子女教育振興財団 教育相談員
佐々 信行

1971〜92年、横浜市立小学校教諭(1974〜77年、ハンブルグ補習授業校教諭)。1992〜2001年、バージニア州グレートフォールズ小学校イマージョンプログラム教諭(同時にワシントン補習授業校教諭)。長女はドイツ生まれ、長男はアメリカで中高を過ごす。2001〜08年、啓明学園初等学校校長。2008〜14年、啓明学園中学校高等学校校長。

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公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

ライタープロフィール

昭和46年(1971)1月、外務省・文部省(現・文部科学省)共管の財団法人として、海外子女教育振興財団(JOES)が設立。日本の経済活動の国際化にともない重要な課題となっている、日本人駐在員が帯同する子どもたちの教育サポートへの取り組みを始める。平成23年(2011)4月には内閣府の認定を受け、公益財団法人へと移行。新たな一歩を踏み出した。現在、海外に在住している義務教育年齢の子どもたちは約8万4000人。JOESは、海外進出企業・団体・帰国子女受入校の互助組織、すなわち良きパートナーとして、持てる機能を十分に発揮し、その使命を果たしてきた。

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