海外教育Navi 第58回
〜日本へ帰国受験をする際に気をつけるべきこと〜〈後編〉

記事提供:月刊『海外子女教育』(公益財団法人 海外子女教育振興財団)

海外勤務にともなう子育てや日本語教育には、親も子どもも苦労することが多いのが現状。そんな駐在員のご家族のために、赴任時・海外勤務中・帰任時によく聞くお悩みを、海外子女教育振興財団の教育相談員等が、一つひとつ解決すべくアドバイスをお届けします。

Q.中学・高校・大学を受験する場合、帰国のタイミングなど気をつけるべきことを教えてください。

前回のコラムでは、中学・高校の入試および編入学についてご説明しました(前回記事へ)。今回は、大学入試についてお話しします。

大学入学資格の改正

海外で日本の教育制度以外の教育を受けた生徒のなかには、生年月日の関係や飛び級等で学年が上がり、18歳よりも早くに12年の教育課程を修了して帰国する生徒がいます。これまでは、18歳よりも早く大学進学の資格を得て帰国した場合(飛び級入学を認めている一部の大学を除いて)、4月1日の時点で18歳になっていないと大学に入学することができませんでしたが、2019(平成31)年1月31日付で大学入学資格が一部改正され、「外国において学校教育における12年の課程を修了する」「国際バカロレア、アビトゥア、バカロレアまたはGCE・Aレベルを保有する」という条件を満たしていれば、18歳に達していなくても大学の入学資格が認められるようになりました。

また、初等中等教育の課程が11年のミャンマーやロシアを含む6カ国の課程については、個別の指定を受けているため、当該国の高等学校を卒業すれば、文部科学大臣が指定した準備教育課程を修了しなくても大学入学資格が認められるようになりました。

なお、海外の高等学校の12年の教育課程を修了せずに途中で帰国した場合は、国内の高等学校に編入して卒業するか、高等学校卒業程度認定試験に合格する必要があります。

大学の帰国生入試

帰国生入試の出願資格(海外での学校種別、海外の学校での在籍期間、帰国前後の日本の高校の在籍期間、高校卒業後の経過年数、単身残留の可否など)は、各大学・学部・学科がそれぞれの方針により定めています。

選考は書類審査や学科試験、面接によって行われるのが一般的ですが、書類審査の取り扱い、学科試験の科目、面接での質問事項はそれぞれの大学・学部・学科によってさまざまです。

4月入学の帰国生入試の時期は、早い大学で7月下旬から始まり、3月まで続きます。秋季入学制度のある大学も増えてきましたが、一部の大学を除いて秋季入学は卒業時期が半年ずれるため、4月入学の帰国生入試を目指す生徒が多いです。

大学によっては、AO入試や自己推薦入試で帰国生を募集する大学も多いです。いずれの入試で受験するにしても、海外滞在中から希望する学部・学科の募集要項をよく調べ、一時帰国のときにはオープンキャンパスに参加するなど計画的に受験の準備を整えておきましょう。

終わりに

帰国のタイミングで気をつけなければならないのは、「高等学校への進学」の項で述べたように、出願資格を満たさない可能性がある場合です。また中学校や高等学校では、4月入学より編入学の方が学校選択の幅が狭まり、自由に選べないおそれがあります。一方、大学の帰国生入試では、現地校の12年の課程修了の資格を取得して帰国した方が選択の幅が広がるため、子どもだけが現地に残るケースもあります。

海外での滞在期間は未定でいつ帰国になるかわからないというご家庭も多いですが、中学校から高等学校、大学までの入学、編入学の見通しを立て、いくつかの選択肢を考えておくことをお勧めします。

今回の相談員

海外子女教育振興財団 教育相談員
植野 美穂

東京学芸大学附属高等学校大泉校舎の開設に携わり、以降数学の教師として帰国子女教育にかかわる。同大学附属国際中等教育学校の開校に開設準備室長としてかかわり、2007年から同校教諭。09年より海外子女教育振興財団の教育相談員、14年より教育相談室長。

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公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

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ライタープロフィール

昭和46年(1971)1月、外務省・文部省(現・文部科学省)共管の財団法人として、海外子女教育振興財団(JOES)が設立。日本の経済活動の国際化にともない重要な課題となっている、日本人駐在員が帯同する子どもたちの教育サポートへの取り組みを始める。平成23年(2011)4月には内閣府の認定を受け、公益財団法人へと移行。新たな一歩を踏み出した。現在、海外に在住している義務教育年齢の子どもたちは約8万4000人。JOESは、海外進出企業・団体・帰国子女受入校の互助組織、すなわち良きパートナーとして、持てる機能を十分に発揮し、その使命を果たしてきた。

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