こどもの言葉の力を磨く!
読書のススメ
- 2021年6月1日
- 2021年6月号掲載
英語で本を読むために
知っておくべきこと
こども自身が読めるレベルで
英語で本を読むことにより、自然な文脈でより多くの単語に触れることができます。楽しみの一つとして読書に取り組めば、英語を学ぶ意欲にもつながるでしょう。
本選びで大切なポイントは、こどもの興味・関心に合っていること、こども一人でも読めるレベルの英語であることです。年齢に適した本であっても英語のレベルが高すぎて読めない場合は、対象年齢を少し下げましょう。Picture bookやGraphic novelなど、視覚的に楽しめる本から読み始めても良いと思います。小学校低学年には、イラストに親しみがあり次々と読み進められるシリーズ物の『Pete the Cat』(HarperCollins)や『An Elephant & Piggie Book』(Hyperion Books for Children)がおすすめです。高学年には英語の本を読むきっかけとして、映画化されている本を薦めてみましょう。児童文学で有名なRoald Dahl氏の『Charlie and the Chocolate Factory』『The BFG』『Matilda』『James and the Giant Peach』(すべてPuffin Books)などは、本と映画を合わせて楽しむことができますよ。
オーディオブックや対話で理解を深める
読み聞かせをする時には、①抑揚をしっかりつけながら(登場するキャラクターになりきって)、②リラックスできるテンポで不自然な遅さにならない程度に、③本をこどもに見せながら、読みましょう。ストーリーを追いやすいように、ときどきこどもに質問したり、対話したりしながら読み進めるのもおすすめです。もし英語で読み聞かせをするのが難しければ、オーディオブックを活用すると、こどもは聞きながら英語を読むことができます。
本を読み終わったら、内容について興味を示すような質問や対話を促すと本の理解が深まり、コミュニケーション手段としても読書が楽しいものになります。Who、What、When、Whereなどの具体的事実を問うのも良いですし、読み聞かせの間に「What do you think will happen next?」などと聞き、先を想像することも言語習得には必要なスキルです。
親子で楽しむことが第一歩
読書の楽しさを分かってもらうには、きっかけ作りが重要です。図書館に行っておもしろそうな本はないかと一緒に見て回り、手に取ってみましょう。最初はこどもが好きな漫画の英語版から始めるのもおすすめです。日本の漫画は数多く英語に翻訳されています。英語学習者にとって、ある程度内容を理解したうえでたくさんの単語に触れることは大切です。こどもが日本語で楽しいと思う本の英語版を薦めるのも良いでしょう。
他言語で本を読むことは容易ではありません。数日で読める薄い本から取り組めば1カ月に数冊読むことができ、その達成感から意欲が高まることもあります。1日1章など、読む量を決めて習慣づけることも大切です。読書が楽しいものにならなくては習慣として続きません。学習というよりは、リラックスした環境や時間に読書ができるように、家庭で配慮することが大切です。親もこどもと一緒の時間に読書に親しむなど、家族で読書習慣を共有する時間を持ちましょう。
<取材協力>
ニューヨーク育英学園
廣田千里
日本の公立高等学校での英語教職経験を経て、2013年ニューヨーク大学(NYU)でTESOL修士号を取得。2019年よりニューヨーク育英学園全日制でESLを教える。現在、英語科主任として学園の英語カリキュラム・マネジメントを行っている。
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