ご自身が生涯をかけて働き、築き上げ、成長させてきた資産があれば誰もが大切な人に受け継いで欲しいと願うでしょう。多くの方はご子息やご兄弟、または慈善団体に財産を遺すことを希望されますが、残念ながらエステートプランに関する知識がなかったために、資産の大部分が高額な検認手続きと弁護士費用に費やされることになってしまう事例は珍しくありません。
エステートプランとは、あなたの大切な人があなたの財産を受け継ぐ際に長期間にわたる高額なProbate(裁判所による検認手続き)の対象とならないようにするために必要な手段です。保有する資産がそれほど大きくない場合でも、エステートプランを作成しておくことによってトラブル回避に繋がるため、エステートプランを準備しておくことは非常に大切です。
カリフォルニア州では、故人の保有資産が16万6250ドル(2021年現在)を超える場合、相続人が遺産を受け継ぐ前に検認裁判所による手続きを経ることが州法によって義務付けられています。そのためカリフォルニア州で不動産やまとまった額の銀行預金をトラスト名義にせず個人名義で所有していた場合、検認手続き(Probate)の対象となる可能性が高くなってしまいます。
エステートプランとは何か?
エステートプランとは、複数の法的書類の複合的な効力によって、作成者の希望する内容をご家族などのあらかじめ指名した人物に実現してもらうために準備する書類です。エステートプランの中でもっとも重要なものはリビングトラストと呼ばれ、これには相続人や相続人のために資産を管理・運用・分配する管理者、各相続人が財産を受け取ることができる年齢や割合等を記載します。保有資産をトラスト名義に移行することによって検認手続きを避けることが可能になります。
エステートプランで次に重要なものは遺言書(Will)です。遺言書は作成者の死亡後に有効となるもので、未成年のお子さんの後見人やご自身の埋葬方法などについての希望を記載します。遺言書には相続人や遺産分割の内容については記載しませんが、作成者の死亡時にトラスト名義に移行されていない財産のすべてをトラスト名義に移行させる旨が記載されており、すべての財産を希望通りに相続人に譲り渡すことができるよう、リビングトラストを補完する役割を担います。日本とは違い、遺言書だけでは検認手続きを避けることはできないため注意が必要です。
さらに、エステートプランに含まれる主な書類には財産に関する委任状と医療看護指示書があります。委任状は作成者が生存中に意思決定をしたり、それを表明したりすることができない「意思能力不能」の状態となった場合に、作成者に代わって財産管理をする権限を代理人に委託するための法的書類です。医療看護指示書では、作成者が意思能力不能となった場合に医療行為に関する選択や決定をする代理人を指名します。委任状と医療看護指示書は作成者の死亡と同時に効力を失います。
最後に、不動産をお持ちの場合はGrant Deedと呼ばれる権利譲渡証書を作成します。これは不動産の所有者が個人名義ではなく、リビングトラストの管理者として不動産を所有することを不動産所在地の郡の登記局に届け出るためのものです。
エステートプランの作成
当事務所ではまず、弁護士を交えたミーティングで家族構成、保有資産、遺産分割に関する具体的な要望等の情報をお尋ねし、それぞれのご家族のご希望に沿ったエステートプランを作成します。その後、プラン完成のため作成者ご自身に行っていただくFundingと呼ばれる個人名義の財産をトラスト名義に移行する手続きについてご説明します。なお、資産状況や家族構成の変化、法改正に応じたプランの定期的な見直しをおすすめしています。
Kimura London & White LLP
交通事故・人身事故、契約関連・雇用・ビジネス上のトラブル、民事訴訟、エステートプラン(リビングトラス・遺言書・委任状)の作成。日本語の書類の公証(Notary)- 遺産相続関連や年金申請など。
Tel: 949-293-4939(日本語直通:みつだ)、949-474-0940(英語)
ホームページ: japanesespeakingattorney.com/(日本語)
www.klw-law.com/(英語)
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