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日本における老後の認知症への備え
- 2022年7月16日
人生100年時代を迎え、平均寿命の延びとともに老後の期間も長くなりつつあります。それとともに考えておかなければならないのが、長生きリスクです。長生きリスクとは、老後に生じる病気や介護にかかる費用の増加による貧困といったリスクのことです。なかでも認知症については、治療や介護で費用がかかるものの、認知機能の低下により自分自身での対応や金銭管理ができなくなりますので、早い段階で備えをしておくことが重要です。「自分は認知症にはならないだろう」「自分はまだ認知症になるような年齢ではないし、もう少し先になってから考えれば……」と思われるかもしれませんが、将来認知症の可能性がある潜在的患者数は年々増えています。厚生労働省によれば、2025年には日本の認知症患者は約700万人、65歳以上の5人に1人が発症すると推計されているのです。そこで今回は、日本への永住帰国者向けに日本での認知症への備えについて紹介します。
認知症になった場合の社会保障〜公的介護保険制度〜
日本には医療(健康)保険とは別に介護保険があります。介護保険制度は、高齢化の進展とともに加齢による寝たきりや認知症の高齢者が急増する中、社会全体で高齢者介護を支える仕組みとして平成12年(2000年)に施行されました。介護サービスを受けた際の費用の7〜9割を国が負担します。医療保険と同様に、日本国内居住者であれば誰でも加入することができる大変ありがたい制度です。もちろん毎月の介護保険料の支払いも必要です。加入対象者は65歳以上の人(第1号被保険者)、および40歳以上65歳未満で健康保険加入者(第2号被保険者)です。医療保険のように、医療機関で診療を受けた保険加入者であれば誰でも利用できるというものではなく、事前に介護が必要な状態かどうかを医師の診断書をもとに認定を受ける必要があります。認定基準は要支援1、2、要介護1~5の7段階あり、どの基準で認定されるかにより、介護サービスにかかる費用や利用できる高齢者施設(後述)が変わります。
相談場所
1.地域包括支援センター、
地域包括支援センターは、介護・医療・保健・福祉について高齢者を支える総合相談窓口です。専門知識を持った職員が、高齢者が住み慣れた地域で生活できるように介護サービスや介護予防サービス、保健福祉サービス、日常生活支援などの相談に応じます。各市町村が設置主体で、自治体から委託され、社会福祉法人や社会福祉協議会、民間企業などが運営しているケースもあります。
2.日常生活自立支援事業
日常生活自立支援事業とは、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が不十分な方が地域において自立した生活が送れるよう、利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助等を行うものです。各都道府県・指定都市社会福祉協議会が実施主体となります。支援の内容は福祉サービスの利用援助、日常生活上の消費契約および住民票の届け出等の手続きに関する援助、日常的金銭管理、定期的な訪問による生活変化の察知などです。
3.認知症初期集中支援チーム
認知症初期集中支援チームとは、医療・介護の複数の専門職が、家族の訴えなどにより認知症が疑われる人や認知症の人およびその家族を訪問し、アセスメント、家族支援などの初期の支援を包括的・集中的(おおむね6カ月)に行い自立生活のサポートを行うチームです。
対象者は40歳以上で、在宅で生活しておりかつ認知症が疑われる方または認知症の方で、所定の基準に該当する方です。早期の診断・治療開始により、地域による能動的な認知症への対応が期待できます。
入居施設
1.特別養護老人ホーム
要介護3以上と認定された方が入居可能な施設です。公的施設なので入居金なしで、月額家賃も6〜15万と有料老人ホームに比べ安価なことから入居希望者が多く、場所によっては入居待機待ちとなる施設もあります。
2.グループホーム
認知症の高齢者を専門とした介護施設で、5~9人の利用者が1つのユニットとなり、スタッフの介助を受けながら共同生活を行います。入居の条件としては、65歳以上、要支援2または要介護1以上の認定、医師もしくは専門医から認知症と診断された人になります。公的施設ではありますが、食事サービスなどは保険適用外となる場合もあります。入居金の他、月額家賃(10〜20万円程度。施設によって異なる)がかかります。
3.老人ホーム
高齢者向けの住まいで、入居者に合わせて介護付(介護サービスを提供)、住宅型(生活支援サービスや訪問介護サービスを提供)、健康型(介護が必要になったら退去)があります。介護付きタイプには認知症の高齢者が入居可能なホームもあります。公的施設ではないので費用(入居金、月額家賃)はやや高めです。
いかがでしょうか?米国でも同様の対策が考えられると思います。現在日本への帰国を考えている人は、こうしたことも検討材料の一つとして参考にしてください。
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