【ニューヨーク不動産最前線】
ランドリースの落とし穴

掘り出し物、お買い得物件が出てきたら教えてくださいと言われることがあります。ネットサーチで見つけた物件を、これが良さそうですと言われることもあります。でも、値段だけでお買い得物件と飛びつくのは要注意です。その物件、ランドリースかもしれません。

今回はランドリースの物件についてです。ランドリースとはその名の通り、土地をリースしてその上に建物を作っている物件のことで、コープに多い形態です。コンドミニアムでもコープでも建物所有者が建物と土地の両方を所有としていると思われがちですが、NYCには約100棟のランドリース物件があります。

ランドリース物件の特徴は管理費が格段に高いこと。これは管理費の中に土地所有者に対するレントが含まれているためです。固定資産税は土地所有者が払うので、税金を払わないアパートオーナーは税金優遇措置を受けられません。せっかく物件を購入したにもかかわらず、高いレントを払い続けるだけで節税のメリットは受けられないのです。

ランドリースの期間は50年から100年程度のものが多く、リース契約期間の終了が近づくと、契約更新か土地を買い取るかの選択となります。買い取りの場合は莫大な購入費用がそれぞれのアパートオーナーの負担となるので、ほとんどの場合はリース契約更新となります。ちなみにどちらも選択しないとリース切れと共に建物を追い出されてしまいます。

リース更新に伴ってレントの値上げがあり、当然管理費に跳ね返ってくるので、ランドリース物件の購入を決めたら、リース期間があと何年残っているかも把握しておく必要があります。リース契約が30年以内に終了する物件の場合は、モーゲージを取得するのも困難です。リースの期限切れが分かっている物件に対して30年のローンを許可する銀行が少ないためです。

このようにリスクだらけのランドリース物件を買うメリットがあるのかというと、実は購入価格が格段に安いのです。通常のマーケット物件に比べて20〜30%は安いので、毎月の管理費が高くても、節税のメリットが無くても、安く購入するメリットのほうが大きいと判断される場合は買いの場合もあります。それに、ランドリース物件はとても立地が良いところにあることも特徴で、この立地で破格の安値で買えるとなると購入あり、と判断するバイヤーもいます。残りのランドリース期間も50年以上残っているし、かつこの物件が終の住処で将来の売却予定も無いという場合、さらに土地所有者が個人ではなく政府関係や非営利団体(教会)の場合は、リース更新時の大幅な値上げリスクも少しはヘッジできるかもしれません。

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柏原知子 (Tomoko Kashihara)

柏原知子 (Tomoko Kashihara)

ライタープロフィール

大阪女子大学(現:大阪府立大学)卒業後、CBRE Japanに入社。東京で外資系企業のオフィス移転を担当する商業不動産ブローカーとして働いた後、ニューヨーク勤務を機に住宅ブローカーに転向。1999年より住友不動産販売NYで活躍した後、2021年に米系大手Compassに移籍。趣味は旅行、クルーズ、トレッキングとイタリア語。

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