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【ニューヨーク不動産最前線】コープの購入プロセス
- 2023年10月11日
前回2回にわたりコンドミニアムの賃貸についてお伝えしたので、今回はコープについてお話しします。ニューヨーク市の住宅の7割以上がコープなので、ニューヨークの住宅といえばコープが欠かせません。ただし、コープは通常賃貸を許可していません(一部例外はありますが)。したがって、コンドミニアムのように単に資産と収入を証明すれば借りられるわけではなく、賃貸市場でのシェアも限られており、コープは主に売買市場で取引されます。
というわけで、今回はコープの売買に関するルールとプロセスについてご紹介します。
まず大前提として、コープはビルごとに特色があり、それぞれ異なるカラーを持っています。これを把握した上で、ボードへの購入申請を進めることが成功の鍵です。
手続きとしては、ボードへ提出するための収入証明書や資産証明書、過去2年分の税申告書などが求められます。その他、個人やビジネス関係者からの推薦状も必須です(それぞれ最低でも2通、多いところは4通程度)。提出書類はかなりのボリュームになり、数百ページに達することもあります。融資を受ける場合にはさらに銀行からの書類も必要です。従って、スムーズに申し込みを進めるには、手続きを進める前に必要なものを整えておくことが大切です。また、自己紹介レターも効果的です。必須項目ではないですが、自分のプロフィールと物件への思いを簡潔にまとめた手紙を申込書に添えることで、ボードメンバーに好印象を与えることができます。
提出書類が揃わない場合、コンドミニアムのように代替書類を提出することは認められません。コープは基本的に、求められた書類を提出できる入居者のみを受け入れるスタンスです。まさに会社の採用過程に似ており、「会社の文化に適合する人材のみ採用する」という考え方です。そのため、本人の収入が少なくても、親が代わりに収入を示すなどの代替方法は通用しません。
申請書類を作成し提出した後、結果が出るまでには時間がかかります。コープによっては1カ月以上、場合によっては数カ月の審査期間があります。その間、当事者(売主も含む)は基本的に待つしかありません。途中で、追加書類の提出を求められることもあり、さらに審査が長引く場合もあります。
審査が通過した場合、最後にボード面接が待っています。ここで不合格になることもあります。何度も言いますが、コープのカラーに合わないと判断されれば、面接で不合格となることもあるのです。
以上のように、手続きが面倒なコープですが、何と言ってもコープは数が多く、コンドミニアムに比べて価格も安いため、ニューヨーク市民にとって魅力的な選択肢です。次回はコープの審査を通過するためのコツについてお伝えします。
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