2025・2026年の税制変更:押さえておきたい4つのポイント

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早いもので2025年はもうすぐ終わりですが、2025年分Tax Returnの作成は年が明けてからになります。今年はトランプ大統領の減税・歳出法(The One Big Beautiful Bill)により、様々な税制変更が決まりました。この記事では、2025年、2026年から施行される税制変更について影響の大きい項目を解説します。

2025年から変わること

2025年分Tax Returnにインパクトが大きい、「State and local tax(SALT)の所得控除拡大」と「65歳以上のシニア向け追加所得控除」について押さえておきましょう。

項目別所得控除(Itemized Deduction)におけるSALT所得控除の上限を$10,000から2025年$40,000に引き上げ、2026年から2029年までは各年1%増額し、2030年に$10,000に戻すこととなりました。ただしこのSALT所得控除の拡大には、所得に応じた段階的縮小措置があり、Modified Adjusted Gross Income (MAGI)が50万ドルを超えると縮小し始め、60万ドルで控除上限は$10,000となります。

SALT控除上限の一時的引き上げは、state income tax、sales tax、property taxが高い地域に居住している高所得者(ただしMAGIが50万ドル以下)に、項目別所得控除(Itemized Deduction)を通じて節税の機会をもたらすでしょう。

65歳以上のシニア向け所得控除の追加も減税効果が大きい変化です。2025年から2028年にかけて65歳以上の納税者に$6,000の所得控除が追加されます。ただし、この追加所得控除も所得に応じた段階的な縮小措置があり、単身者申告で$75,000、夫婦合算申告で$150,000から縮小し始め、単身者申告$175,000、夫婦合算申告で$250,000でゼロとなります。

例えば、2025年の標準所得控除は単身者申告$15,750、夫婦合算申告$31,500です。これにもともと65歳以上の納税者には単身者申告で$2,000、夫婦合算申告で一人あたり$1,600の加算がありました。したがって65歳以上の場合、標準所得控除は単身者申告$17,750、夫婦合算申告$34,700(夫婦とも65歳以上の場合。以下同じ)です。これに今回のシニア所得控除が加わると、単身者申告$23,750、夫婦合算申告$46,700となります。

シニアの一時的追加所得控除は、トランプ大統領の選挙公約であったソーシャル・セキュリティ給付の非課税化の代わりに盛り込まれたものです。この所得控除の対象になる納税者には、Traditional 401(k)・IRAからの引き出しやRoth Conversionの好機を提供するでしょう。

その他One Big Beautiful Billによる2025年からの税制変更については「トランプ政権の減税・歳出法が成立:個人向け減税措置と国際送金課税 」をご覧ください。

2026年から変わること

2026年からの変化として、「寄付控除の変更」と「401(k)等勤務先リタイアメント・プランの Catch-up Contributions」について取り上げたいと思います。
2026年から恒久的に、標準所得控除を使う納税者は、単身者申告$1,000、夫婦合算申告$2,000までの寄付(適格団体(Public Charities)に対する現金同等物による寄付)を所得から控除(Above-the-Line Deduction )できるようになります。

第一期トランプ政権のTax Cuts & Jobs Act (TCJA)で行われた所得税減税措置により標準所得控除が引き上げられたことで、約9割の納税者が項目別所得控除ではなく、標準所得控除を使っています。その結果、控除可能な寄付を行っても、標準所得控除を使っているかぎり節税効果はないという状況になっていました。この税制変更は、標準所得控除の利用者でも一定の寄付控除を可能とするものです。

一方で項目別所得控除を使う納税者は、Adjusted Gross Income(AGI)の0.5%分は寄付控除できなくなります。例えばAGI 20万ドルの納税者が1万ドルの寄付を行った場合、所得控除可能な寄付額は、20万ドル×0.5%=$1,000を寄付額1万ドルから除いた$9,000になります。そのほかにも連邦所得税最高税率である37%のTax Bracketの所得に対して、寄付控除の一部(2%/37%)減額が行われます。項目別所得控除を使っている場合、可能であれば寄付のタイミングを2025年中に前倒しした方がよいかもしれません。

401(k) 等勤務先リタイアメント・プランのCatch-up Contributionsについては、SECURE 2.0 Actによる変更が施行されます。なお2026年は、401(k)等加入者の通常の拠出限度額は$24,500で、これに加えて50歳以上の場合はCatch-up Contributions $8,000が可能です(合計で$32,500)。

通常のContributions、Catch-up ContributionsともにPretaxかRoth(After-tax)か選ぶことができますが(勤務先がRoth 401(k)を提供している場合)、2026年からは前年所得(FICA Tax対象所得)15万ドル以上の加入者はCatch-up ContributionsはRothしか選べなくなります(前年所得が15万ドル未満の場合、引き続きPretaxも選択可能)。拠出設定変更など実際の手続きがどうなるかは、勤務先からの連絡を待つ必要があります。

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後藤浩 (Hiroshi Goto)

後藤浩 (Hiroshi Goto)

ライタープロフィール

Goto Financial Advisory LLC 代表
東京大学経済学部卒。早稲田大学大学院経営管理研究科修士(MBA)第一生命、PwC勤務後、年金基金向け運用コンサルタント、米系資産運用会社の執行役員など25年の資産運用業界経験を有する。2023年に在米日本人のためのフィナンシャル・プランニング法人、Goto Financial Advisory LLC設立。 リタイアメント・プランニングに役立つブログ多数掲載中。 2019年よりテネシー州在住。Sister City of Nashville 理事。資格:CFA協会認定証券アナリスト、米国税理士、認定ソーシャル・セキュリティ・アナリスト

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