海外教育Navi 第92回
〜一時帰国が困難ななかでの帰国後の学校の選び方〜〈後編〉

記事提供:月刊『海外子女教育』(公益財団法人 海外子女教育振興財団)

海外勤務にともなう子育てや日本語教育には、親も子どもも苦労することが多いのが現状。そんな駐在員のご家族のために、赴任時・海外勤務中・帰任時によく聞くお悩みを、海外子女教育振興財団の教育相談員等が、一つひとつ解決すべくアドバイスをお届けします。


Q.一時帰国がままならず、帰国後の子どもの学校をどう決めたらよいのかわかりません。受け入れ校の選び方などについて教えてください。

前回のコラムでは、帰国生受け入れ校や帰国生入試の特徴についてお話ししました(前回記事へ)。今回は、学校選びのポイントをご紹介します。

学校情報のポイント

学校情報を収集したり各校の特徴をつかんだりする際のおもなポイントを紹介します。

①校風・雰囲気
②進路実績
③学校形態(共学校・女子校・男子校、中高一貫校、大学付属校、宗教系、学科・コースの編成等)
④一般的な指導内容
⑤未習分野の補習などの指導内容
⑥英語などの取り出し授業の指導内容
⑦施設・設備
⑧学校行事(留学制度の有無など)
⑨課外活動
⑩通学時間

どの点に重きを置くかは、お子さんの特性・希望とご家庭の教育方針をもとに順位づけをすることになります。

学校情報の収集法

①書籍類の活用
・帰国した母親のグループが受け入れ校を訪問してまとめた冊子もたいへん有用です。(関東地区「帰国生母の会フレンズ」、関西地区「関西帰国生親の会かけはし」)

②学校のホームページの活用
・昨年よりコロナ対策として各校がさまざまな工夫を凝らして自校の特徴を発信しています。オンラインで入試を実施している学校もありました。オンライン個別相談(要予約)を実施していたり、お問い合わせフォームがあり質問にメールで回答していたり、入試情報を入手できたりする学校もあります。
・公立の学校なら各都道府県教育委員会、私立学校なら日本私学教育研究所のサイトからも学校情報の収集が可能です。

③弊財団の活用
・『帰国子女のための学校便覧』は、帰国児童生徒を受け入れている全国の小・中・高・大・短大・インターナショナルスクールや各都道府県教育委員会の情報等が掲載されています。
・ウェブサイト「帰国子女受入校検索」から帰国子女受け入れ校を検索でき、そこから各校のホームページをご覧いただけます。
・「帰国生のための学校説明会・相談会」は、昨年度、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、通常開催を見送らせていただくこととなりました。しかしオンラインによる代替企画を開催し、たいへん多くのかたがたに参加・視聴いただき、盛況のうちに終了しました。今年度につきましては、決まり次第、ウェブサイト等でご案内します。
・「教育相談」は、弊財団の教育相談員が個別に帰国後のお子さんの教育についての不安や疑問にお答えしています。また都道府県別帰国子女受け入れ校のご紹介など、海外に滞在中でもご利用いただけます。相談方法は、メール、電話、オンラインです。お申し込みはウェブサイトからできますが、お急ぎの際はお電話にて予約を承ります。相談料は6000円(初回相談から1年間有効)、有効期間内に何度でも相談できます。企業・団体会員は無料です。ぜひ、ご利用ください。

終わりに

海外では帰国後の学校選択に関する情報が入りにくい状況です。本来なら一時帰国の折りなどを利用して希望の学校をお子さんと共に訪問したりするでしょう。しかしコロナ禍のなか、それも実現することはできません。

今回ご紹介した学校情報の収集法は多種多様で、海外からもかなりの情報収集が可能になり、学校の教育方針を直接聞くこともできる場合が増えています。多くの学校はメールや電話での問い合わせを歓迎していますので、ぜひ積極的に活用してお子さんに適した学校を選択してください。

今回の相談員

海外子女教育振興財団教育相談員
橋本 芳登

大阪府の公立小・中学校で教諭、教頭、校長を歴任。大阪府大東市教育委員会指導主事として3年間勤務。1995年の広州日本人学校(中国)創立時に教諭として、2016年からはヨハネスブルグ日本人学校(南アフリカ)に校長として勤務。2019年より海外子女教育振興財団の教育相談員を務めている。

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公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

ライタープロフィール

昭和46年(1971)1月、外務省・文部省(現・文部科学省)共管の財団法人として、海外子女教育振興財団(JOES)が設立。日本の経済活動の国際化にともない重要な課題となっている、日本人駐在員が帯同する子どもたちの教育サポートへの取り組みを始める。平成23年(2011)4月には内閣府の認定を受け、公益財団法人へと移行。新たな一歩を踏み出した。現在、海外に在住している義務教育年齢の子どもたちは約8万4000人。JOESは、海外進出企業・団体・帰国子女受入校の互助組織、すなわち良きパートナーとして、持てる機能を十分に発揮し、その使命を果たしてきた。

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