世界の高級品販売が盛り返している。その勢いを支えているのが、若年層の間 で高級品消費が高まっている中国市場だ。
■支出の3分の1は中国
ロイター通信によると、コンサルティング大手ベインの最新報告書は、靴、バッグ、衣類といった個人向け高級品の世界販売が2017年に前年比で6%増加し、18年も6〜8%増加して2760億〜2810億ユーロ(3310億ドル)になると予想している。
特に中国では、消費者がブランド品にみせられ、デザイナーに関する認識も高めており、すでに世界の高級品支出の3分の1近くを占めているという。中国本土での18年売り上げは20〜22%増加する可能性があり、ユーロ高を背景に観光客の高級品支出が減り、伸びは4%未満と予想される欧州など他の市場を大幅に上回っている。
ベインのフェデリカ・レバート氏は、世界的な見通しに関しても「18年、そして今後数年はとても良好」と見ている。中国では12年、政府が高価な贈り物を禁止したため、時計や高級酒ブランドが深刻な打撃を受けたが、中産階級の拡大と若い消費者の高級品志向が市場を盛り上げている。
オンライン販売はまだ小さいものの急成長中で、17年は業界売り上げの約8%を占め、特に中国で拡大している。高級ブランドにとって、現在20〜35歳のミレニアル世代は最も裕福な購買層ではないかもしれないが、多くの若い中国人は所得を高級品に投じることを恐れず、親や祖父母に買ってもらう例もある。レバート氏は「新世代が出現した。若い中国人はファッションや高級品にお金を使いたがっている」と指摘する。
■ブランドでばらつき
中国のほかに売り上げが上向いている市場の1つは米国で、ドル安で外国人が買い物しやすくなっており、ニューヨークやマイアミといった都市で観光客の支出が増えている。地元の消費者も市場の回復に貢献しているが、オンラインで購入することが多いため、百貨店は依然として苦戦している。
レバート氏によると、業界の伸びは値上げではなく販売量の増加に支えられているため健全だが、すべてのブランドが好調という訳ではない。ファッション系ブランドは、若い客の関心を引くためスニーカーのようなストリートファッションに力を入れており、デザイナーの変更や、ソーシャル・メディアを使ったマーケティングを拡大するところもある。
フランスのLVMH傘下ルイ・ヴィトンやイタリアのケリング傘下グッチのようなファッション、バッグの大手ブランドは、最新の四半期売り上げが大幅に増加した。米国の宝飾ブランドのティファニーは、若い消費者を狙って比較的低価格な商品の提供を始めた効果が出始めている。一方で、靴を主力にするイタリアのサルバトーレ・フェラガモはまだ折り返しの段階にあり、本格的な回復には至っていない。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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