【ニューヨーク不動産最前線】
購入手続きをスムーズに進めるための4つのポイント

ニューヨークでは、今年に入ってから急に寒くなって雪が積もりました。例年なら11月から2月の終わり頃までの寒くて暗い季節は不動産のマーケットの停滞期なのですが、今シーズンは昨年の反動と景気回復に伴って、寒さも雪も関係なく衰え知らずのマーケットです。物件の内見をして気に入ったら、即アクションを起こさないと取り逃してしまうので、賃貸・購入を考えている方にとってはとてもストレスフルな状態です。

そこで今回は、いざという時に購入の手続きをスムーズに進めるためにあらかじめ知っておくべき4つのポイントをお伝えします。一つの物件に複数のオファーが入るケースも多いので、売主にこのバイヤーならスムーズに契約ができそうだと思わせることが大事です。

1.銀行からPre-Approval Letterを入手

モーゲージでの購入を検討している場合は、アパート探しを始める前に銀行からPre-Approval Letterを入手しておく。気に入った物件があっても、これが無いとオファーも受け付けてもらえません。

2.あらかじめ不動産弁護士を決めておく

信頼できるプロの弁護士は契約書を効率よく確実にサインする鍵です。弁護士選びに失敗すると物件を取り逃してしまうケースもあります。必ず「不動産専門」でかつ「エリアに詳しい弁護士」を選んでおきましょう。料金だけで弁護士を選ぶのは危険です。

3.エンジニアインスペクションは必要なし!

ときどき混同されるのですが、マンハッタンおよび市内の集合住宅の場合エンジニアインスペクションは必要ありません。エンジニアインスペクションは郊外の一軒家で行われますが、都心の集合住宅では建物全体の構造チェックは不可能なうえ、機械室や共用部分の立ち入りは許可されません。共用部分はビルが一括管理しているので、記録はすべて管理会社によって買主の弁護士に開示されます。慣れた弁護士ならデューデリジェンスの一環でこの作業もスムーズに行います。

4.お金の準備

コントラクト(売買契約書)のサインと同時に手付金10%の支払いが発生します。前もってこの金額がすぐ支払えるようにしておいてください。海外送金が必要な場合はあらかじめ弁護士のエスクロー口座に振り込む等の準備が必要です。コントラクトだけサインしてもこの支払いをしないと契約成立とはなりません。

ここまでくるとちょっと一息つくことができます。ちなみに売主は、コントラクトがサインされるまではいつでも他の買い手に乗り換えることができます。他との競争に打ち勝つには、あらかじめ上記のようなポイントを押さえて心の準備をしておくと、いざという時に素早く行動できます。

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柏原知子 (Tomoko Kashihara)

柏原知子 (Tomoko Kashihara)

ライタープロフィール

大阪女子大学(現:大阪府立大学)卒業後、CBRE Japanに入社。東京で外資系企業のオフィス移転を担当する商業不動産ブローカーとして働いた後、ニューヨーク勤務を機に住宅ブローカーに転向。1999年より住友不動産販売NYで活躍した後、2021年に米系大手Compassに移籍。趣味は旅行、クルーズ、トレッキングとイタリア語。

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