バイオ触媒で二酸化炭素を90%回収 〜アーカミンが実験で実証

 産業排気中の二酸化炭素回収技術を開発するアーカミン(Akermin)は、バイオ触媒を用いたシステムの試験運用で、数週間にわたって90%近い二酸化炭素回収率を達成した。

 エンバイロメンタル・リーダーによると、アーカミンの実験は、アラバマ州ウィルソンビルにある国立二酸化炭素回収センター(National Carbon Capture Center)で行われ、使われたシステムは「バイオカタリスト・デリバリー・システム(Biocatalyst Delivery System)」と呼ばれる。

 このシステムは酵素を触媒に用いて二酸化多酸素を回収する。アーカミンのバリー・ブラックウェル最高経営責任者(CEO)によると、この種のシステムの性能評価としては最長期間かつ最大規模の試験。

 同プロジェクトには、米エネルギー省の研究補助金が拠出されている。また、提携先または供給業者として、ノヴォザイムズ(Novozymes)、エピック・システムズ(EPIC Systems)、バッテル(Battelle)、および国立パシフィック・ノースウェスト研究所(Pacific Northwest National Laboratory)が関与している。

 試験の設備は、今後も数ヵ月にわたって稼動を継続する。その間、酵素の補給は必要とされない見通しだ。今回の実験で得られた運用データは、バイオガス変換、LNG(液化天然ガス)およびアンモニア生産といった標的市場における二酸化炭素回収効果の裏付けとして使用され、また、天然ガスや石炭を使用した火力発電所での大規模試験に向けた予備データとなる見通しだ。

 アーカミンの技術は、環境にやさしい塩を使った溶剤と独自のプロセスにより、設備稼働中にバイオ触媒を補給できる点に特徴がある。将来的には大規模な産業設備や火力発電所に応用できるようになる見込み。

 産業排気中の二酸化炭素回収を目指した試験プロジェクトは、ここ数ヵ月間に数件行われてきた。先月には、エイカー・ソリューションズ(Aker Solutions )が、セメント生産施設での世界初の試験プロジェクトを受注している。

 また、やはり先月、エアー・プロダクツ(Air Products)は、テキサス州の石油採収施設で約100万トンの回収を目指すエネルギー省の実演プロジェクトを行っていることを発表した。

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