乾癬の新しい治療薬に期待〜ノバルティス、臨床試験で目標達成

 スイスの医薬品大手ノバルティスはこのほど、乾癬(かんせん)治療の新薬セクキヌマブ(secukinumab=一般名)が後期臨床試験で主要な目標を達成したと発表した。現在最も一般的に使われるアムジェンの「エンブレル(Enbrel)」よりはるかに大きな効き目があったという。

 ブルームバーグ・ニュースによると、乾癬は、かゆみや痛みを伴う赤い発疹とそれを覆う乾燥した皮膚片が特徴の慢性皮膚病で、免疫機能が切り傷やかき傷などに過剰反応し、表皮が異常な速さで形成されることで起きると考えられている。乾癬になると心臓病や糖尿病などのリスクも高まり、患者の3分の1は皮膚に関節リウマチのような深刻な炎症を発症する。

 患者数は世界で約1億2500万人、米国では750万人に上り、約20〜30%は中等〜重症と診断されている。半分は薬を使っているが、既存の薬が効かないまたは次第に効果が薄れることもあり、ノバルティスの自己免疫疾患治療薬担当者ジョン・ホーネカー氏は「患者の40〜50%は今の治療に満足していない」と話す。

 このためノバルティス以外の製薬会社も新薬開発に取り組んでおり、イーライ・リリーとアムジェン-アストラゼネカ連合がそれぞれ後期臨床試験を進めている。

 既存薬が、免疫機能によって生成され炎症を引き起こす化学物質TNFを阻害するのに対し、セクキヌマブは免疫機能に信号が送られる働きと関係するタンパク質IL-17を阻害する。このため副作用が比較的少なく、即効性が高く、投与回数も少なくて済む可能性がある。

 新薬が認可されれば、乾癬治療薬市場は現在の50億ドルから17年に80億ドルに拡大する可能性がある。エンブレルの年間売上高は37億ドル。

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