公益向け蓄電システム市場が徐々に形成 〜 カリフォルニアが成長を主導

 送電網級の分散型蓄電システム市場が、カリフォルニア州を中心に形成されつつある。

 グリーンテック・メディアによると、カリフォルニア州公益委員会は2013年6月、州内の大手民間公益会社3社に対し、2020年までに1.3ギガワットの蓄電装置を導入するよう要請した。

 サザン・カリフォルニア・エディソンは最近、50メガワットの蓄電装置を導入し、大型蓄電システムの有効性を理解するための歩みを始めた。さらに、州東南部インペリアル郡の公益事業体インペリアル灌漑局は、20〜40メガワットの蓄電装置の調達手続きを始めた。

 そういった動きは蓄電業界にとって好ましい流れだが、同業界はなおも黎明期にあり、規制環境の変化も激しい。公益会社は、蓄電システムの導入を進めながら、その運用方法を学びつつあるのが現状だ。

 しかし、そうした流動的な環境のなかでも、蓄電装置を手がける企業3社が、蓄電システム導入の事業路線を明確に打ち出している。設立4年のグロウイング・エネルギー・ラブズ(Growing Energy Labs)と、2009年に設立されたステム(Stem)、そして設立95年になる電池メーカーのサフト(Saft)だ。

 グロウイング・エネルギーは、蓄電システムとマイクログリッドの管理ソフトウェアを開発している。ステムは、携帯電話網の通信塔やホテルといった局部的な電力負荷を分析して蓄電技術導入の価値があるかどうかを見極めたうえで、18キロワットの蓄電システムを提供している。1998年に蓄電事業に参入したサフトは現在、蓄電技術の商用化に注力し、その分野では最先端にある一社になった。

 グロウイング・エネルギーのライアン・ワーテナ戦略責任者は、蓄電システムの価値が「需要充電管理」にあると考えている。 「当社のみならず、蓄電業界の企業すべてが、今後2年間、同分野に特化するだろう」と語る。

 需要の高まる時間帯に蓄電装置で供給を補完することによって光熱費を10〜20%節約でき、3〜6年で投資の元を取れると同氏は説明する。

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