グーグル・グラスに救命アップも登場 〜 居眠り運転防止や手術支援を可能に

 グーグル(Google)のメガネ型電子端末「グーグル・グラス」は、手を使わずにすむ便利なデジタル・ツールと評価される一方、プライバシー侵害や安全問題の懸念も指摘される、発売前から賛否両論を巻き起こしているが、最近では、人命救助のために活用できる新しい役割にも期待と関心が寄せられる。

 グーグル・グラスの一般向け発売は2014年内に予定されており、現在は、グーグルから選ばれた試用者がその使い心地を試している段階にある。

 USAトゥデイ紙によると、それにともなってグーグル・グラスを使って様々な問題を解決しようとする特異な使い道が考案され始めている。

 たとえば、料理をしながら調理法を表示できる「オールザクックス・レシピーズ」や、ゴルファーがホールまでの距離や状況を分かるようにする「ゴルフサイト」、週末に運動する人が進行状況を追跡できる「ストラバズ・グラス」といったアプリケーションが開発されている。

 さらに最近では、人命を救う可能性をもたらす用途も考案されている。ミシガンのプログラマー(23)は2014年1月に、運転中に眠くなると警告を発する無料の居眠り運転防止アプリケーション「ドライブセーフ・フォー・グラス」を発表した。

 そのアプリケーションには赤外線検知器と傾斜検知器が搭載され、運転者の頭やまぶたが下がるとそれを感知して「居眠り運転をしているので車を停めましょう」と音声で警告する。

 「グーグル・グラスは、スマートフォンより運転の邪魔にならないどころか、運転者の助けになる」とそのプログラマーは可能性を強調する。

 また、ノース・カロライナの消防士(34)は、911通報(日本の110番に相当)をもとに、火災現場までの道順や消火栓の位置をグーグル・グラスに表示するアプリケーションを開発中だ。それに加えて、車内に閉じ込められた人を助ける水圧式救出器具の最も効果的な使い方を表示できるようにするアプリケーション開発も検討中。

 一方、テキサスの医療関連起業家(23)は、医療関係者が治療状況を撮影し同僚とそれを共有して情報交換するという遠隔診療アプリケーション「プリスティーン・アイサイト」を開発し、麻酔医による実験的利用ですでに効果を上げている。

 麻酔医は通常、ページャーを持ち歩く。現状では、手術中に支援が必要になった場合、執刀医や麻酔医がページャーをならし、それを受け取った麻酔医が手術室に電話をかけて用件を聞くという状況で、迅速な対応が難しい。

 それに対しプリスティーン・アイサイトは、用があれば同僚のグーグル・グラスにすぐ接続し、相手が見ているものを別の場所から見ることができるため、手術中に相談して迅速に対応できるようになる。

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