IBM、中国の競合社とやむを得ず提携 〜 共産党の反米系企業作戦に対応
- 2014年8月22日
- ハイテク情報
米国と日本の企業やその子会社への締め付けを強化している中国共産党による摘発や罰金、反外資広報を受けて、IBMは、中国のインスパー・グループ(Inspur Group)との提携に踏み切った。
中国では最近、外国企業の技術やサービスを敬遠しようとする動きが共産党主導で強まっている。先日も、IBMの製品やサービスの代わりに中国企業のものを使うよう、共産党が大々的に促したばかり。
インスパーは中国の電算システムおよびアウトソーシング大手で、各種の業務用ソフトウェア分野でIBMと競合しており、共産党による国産販促運動に乗じて、IBMの顧客企業を奪う動きを一気に強化た。
ブルームバーグによると、IBMは顧客流出を防ぐためにインスパーと業務提携を結び、データベース製品とウェブスフィア・ソフトウェアをインスパーのメインフレームに搭載することで合意した。
インスパーのメインフレームは、中国企業が独自に開発した初の高位サーバー製品。
中国と米国のあいだでは最近、米政府や米企業が頻繁に受けているサイバー攻撃の容疑者として米政府が中国人や中国共産党を挙げたのに対し、中国政府はいっさい関与していないと反論していることから、関係が悪化している。
共産党はそれを受けて米系企業に厳しい態度をとるようになり、その一環としてIBMの製品とサービスを使わないよう呼びかける制裁広報活動を展開した。
インスパーではそれと呼応するように、中国の銀行がIBMや米技術企業のサーバーやソフトウェアに依存すれば、中国の国家安全保障に深刻な損害と危機を招くことにつながる、という論陣を張って反IBM広報作戦を始めた。
IBMは近年、中国事業の低迷を強いられており、ジニー・ロメッティ最高経営責任者(CEO)も純利益目標を達成するために中国市場での巻き返しに重点を置いている。
その矢先に、中国共産党による反米広報とインスパーによる顧客争奪作戦が始まったため、インスパーと提携する以外に中国市場で成長する方法はないと判断せざるを得ない状況に追い込まれた。
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