脳コンピュータ・インターフェイスの進化 〜 麻痺した身体を脳電極で動かす
- 2014年12月5日
- ハイテク情報
神経科学者や工学技術者らは、大脳を直接制御することによって、麻痺した身体を動かす技術の開発に注力している。その結果、いわゆる「脳コンピュータ・インターフェイス」が大きく進歩しつつある。
ギガOM誌によると、ブラウン大学の神経科学研究者ジョン・ドナヒュー博士は、脳に直接埋め込んで身体の動きを部分的に制御できる「ブレインゲイト(BrainGate)」の移植研究を10年前に開始し、猿での実験で成功している。
2012年には、身体の大部分が麻痺した女性の大脳に検知器が初めて埋め込まれている。その検知器には、96の電極が付いており、それらが大脳の指示を筋肉に伝達する仕組みだ。
その女性被験者(53歳)は、ふたの付いた缶をロボット義手を使ってつかみ、ストローをくわえることができるようになった。
一方、ノースウェスタン大学の神経科学者リー・ミラー博士は、複数の電極を持つ検知器アレイを猿の脳に埋め込んだ。検知器アレイは、100の神経から信号を受け取るようプログラムされている。
ミラー氏の研究は、2008年にワシントン大学で行われた同様の研究にもとづいている。同研究では、12の神経の活動をもとに開発したアルゴリズムを使って、身体の一部が麻痺した猿の筋肉を直接制御する仕組みが実験された。
脳コンピュータ・インターフェイス研究の先駆者の一人として注目されるデューク大学の神経社学者ミゲル・ニコレリス博士は、「ウォーク・アゲイン(Walk Again)」という研究活動を立ち上げ、脳の活動を長期に渡って記録する技術によって世界中で関心を集めている。
2014年夏に開催されたワールド・カップ・サッカー・ブラジル大会の開会式で華やかにキックオフを飾った29歳の青年は下半身麻痺だが、ニコレリス博士の技術を使って見事にその役割を果たした。
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