米国に航空機産業集まる〜アウトソースの流れが逆転
- 2015年3月12日
- 米国ビジネス
航空機業界は、2012年まで約10年にわたり多くの製造関連投資が中国、インド、ブラジル、メキシコなどの新興国へ向かっていたが、過去3年間は流れが逆転して米国に向かい始めている。
ロイター通信によると、コンサルティングのICFインターナショナルが、00年以降に行われた2000件以上の投資取引を分析したところ、12〜13年の製造関連投資は米国が28件だったのに対し、中国とメキシコはそれぞれ8件、ブラジルは4件にとどまった。その10年前はメキシコへの投資が10件と最多で、米国は6件だった。
商用航空機の製造業界は、実質的な航空料金の低下を相殺するために航空機を安く購入したい航空業界から、製造コスト削減を求める強い圧力を受けている。大手ボーイングの場合、次世代中型旅客機787ドリームライナーのアウトソーシングを減らし、米工場での社内生産を増やしている。欧州の大手エアバスは、アラバマ州モービルに組立工場を建設している。
ボーイングでは、シアトル近郊で製造された787用のエア・ダクト(通風管)がイタリアに出荷され、詰め替え直してサウスカロライナ州チャールストンの787工場に送られていたことが分かったため、シアトルから直接チャールストンに送るための調整なども行っている。製造業務の海外移転は人件費の安さが主な要因だったが、近年は新興国の賃金も上昇し、作業自動化のためのロボット導入なども進められているため、米国とのコスト差が縮まっている。
一方で、国内ではいくつかの地域が航空関連事業の誘致を強化しており、例えば今年はフロリダ州北西部の経済開発団体が初めて太平洋北西部航空宇宙連盟(PNAA)総会の主要スポンサーになった。フロリダ北部の内陸部は、ボーイング、エアバス、ガルフストリーム、エンブラエルの工場など計5つの大型航空施設に囲まれ、6万人の関連労働者、多くの軍用基地、500以上の航空・軍事関連企業を抱えている。
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