企業間取り引きに「ソーシャル営業」 〜 データにもとづく取り組みが重要に

 B2B(企業間取り引き)分野の営業のあり方が、技術によって大きく変わりつつある。データとその分析にもとづいて売り込む「ソーシャル営業(social selling)」と呼ばれる手法が重要性を増すと指摘される。

 インフォメーション・エイジ誌によると、米調査会社のフォレスター・リサーチは、販促業務の自動化によってB2Bの営業職が2020年までに100万件失われるという予想を示した。

 フォレスターでは営業職の分類について、単純に注文を受ける係からコンサルタントまでいく層にも区分し、特に、低いレベルの職種ほど早く失われていくと予想する。

 実際、注文を受けるだけの単純な仕事では、オンライン注文システムによって多数の雇用機会がすでに失われてきた。

 その一方で、製品が複雑化するにつれて、営業過程に求められる専門性が高まりつつある。買い手の知識水準も高まっており、あらかじめオンラインで調べて購入意向をある程度固めてから、供給元に連絡してくる場合も多い。そのことから、コンサルタントのような立場から顧客や潜在顧客に助言できる営業の仕事は、永遠に必要になるとみられる。

 フォレスターではさらに、今後のB2B分野では「ソーシャル営業」の重要性が高まると指摘する。オンライン上で開示されている大量の情報を営業過程に活用する取り組み方だ。

 インフォメーション・エイジに寄稿した新興企業アーティジアン・ソリューションズのアンドリュー・イェイツ最高経営責任者(CEO)は、「ソーシャル」と言うと精度の低い情報と受け止められがちだが、ソーシャル営業の手法はむしろ、潜在顧客にとって関連性の高いものを提示することを主眼としたものだ、と説明する。

 つまり、営業をかける企業は、最初の1本の電話や1本の電子メールで潜在顧客に接近する前に、潜在顧客のことをよく知ったうえで、適切な文言を選ぶ必要がある。

 アーティジアンでは、B2Bの営業支援ツールを開発しており、その利用顧客に対して公開情報をできるだけ登録することで、売り手になる場合も買い手になる場合も、無駄な時間や労力を費やさずに済むようになると働きかけている。

 B2Bの営業では、「数撃ちゃ当たる」は通用しなくなりつつある。情報が売り手と買い手の行動を変えつつあり、情報にもとづく綿密な取り組みの時代が訪れている、とイェイツ氏は指摘する。

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