スポーツ施設が資源再生に本腰〜来場者にも細かい分別求める

 観客に細かいごみの分別を求めるスポーツ施設が増えている。

 ニューヨーク・タイムズによると、全米のアリーナやスタジアムはこれまでもガラス瓶、アルミ缶、厚紙などをリサイクル用に分別していたが、最近では残飯やフォーク/スプーン、トレー、カップなどに関しても専用のごみ箱を置くところが増えた。

 シアトル・マリナーズ、ピッツバーグ・パイレーツ、ポートランド・トレイルブレイザーズといったスポーツ・チームの施設や全米オープンなどのイベントでは、ごみのコンポスト(堆肥)化によって埋め立て場や焼却場へのごみ運搬コストを大幅に削減している。

 堆肥化は、メタンのような温室効果ガス排出量を大幅に減らす一方で、肥料にもなるマルチ(根囲い)を大量に生産できるため、スタジアムの厨房では常識となっている。これまで観客席に細かい分別を広げなかったのは、ファンに嫌われる恐れがあったからだ。しかし最近は堆肥化が可能な生物分解性の食器類が値下がりし、実施が可能になった。

 土に帰る食器の多くは、ネイチャーワークス(NatureWorks、ミネソタ州)が開発したコーンスターチ原料のバイオ樹脂「インジオ(Ingeo)」でできており、軽くて丈夫な上、残飯と一緒に堆肥化できる。従来商品よりは割高だが、差額はごみ処分費の削減で相殺できる。

 ネイチャーワークスによると、スポーツ施設は使う商品をすべて建物の運営者が管理でき、堆肥化できない物の使用量を減らせるため、堆肥化運動を実行しやすい。目下の課題は、堆肥化が可能な紙製品の大量確保、新しく必要なごみ箱の購入と設置、コンポストの保管場所やコンポスト業者の確保など。大量のごみを安く引き受けるコンポスト業者を見つけるのは難しく、スポーツ施設の近くに堆肥化施設を見つけることも大きな課題だという。

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