石油輸送列車の安全は不十分〜環境団体、新基準で政府訴える

 連邦政府が今月初めに発表した石油輸送列車に関する新しい安全規制は不十分であり、再検討が必要と主張する環境保護団体がこのほど、政府を相手取って訴えを起こした。

 ロイター通信によると、訴えたのはシエラ・クラブや生物多様性センターなど7つの環境団体。新規制では業界が安全でない旧式のタンク車を最高10年にわたって使い続けられる可能性があり、石油輸送列車に対する十分な速度制限もないと主張している。原告に名を連ねるフォレストエシックス(ForestEthics)のトッド・パグリア代表は「今の規制ではタンク車が爆発した場合に被害が想定される沿線の国民2500万人を守ることができないため、行政を訴えている」と話した。

 米国とカナダは、石油の鉄道輸送量増加とともに爆発事故が増えたことを受け、新しい安全基準を定めた。鉄道事故の際に破損しやすく火災や爆発の危険性が高いと考えられる2011年10月以前に製造されたタンク車(DOT-111)は3年以内に段階的に廃止し、11年10月以降に製造された外殻が補強されていないタンク車(CPC-1232)も20年までに段階的廃止を義務づけている。

 原告団はこれらの段階的廃止期間が長すぎると見ており、運輸省にこれを再検討させ、適切な速度制限と告示の義務づけをルールに盛り込むよう求めて第9巡回区連邦控訴裁に提訴した。

 一方、エネルギー業界や鉄道業界は新規則で定められた期限内にタンク車の交換ができるかどうかを懸念している。米国石油協会(API)はこのほど、貨車の改造期限や電子制御された空気ブレーキの搭載義務づけに異議を唱え、首都ワシントンの連邦控訴裁に訴えている。

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