ソニーとカナダ公益会社、蓄電システムを試験へ 〜 2017年での商用化目指す
- 2015年7月7日
- 環境ビジネス
ソニーと、カナダの公益会社ハイドロ・ケベック(Hydro-Quebec)による合弁会社エスタリオン・テクノロジーズ(Esstalion Technologies)は、600個近い電池を使用した蓄電システムの試作品の試験をまもなく開始する。
ハイドロ・ケベックのカリム・ザグヒブ蓄電事業担当責任者によると、エスタリオンの社名は、「エネルギー・ストレージ・システム」と「リチウムイオン」をかけ合わせた造語だ。
グリーンテック・メディアによると、同社にはソニーとハイドロ・ケベックが50%ずつ出資しており、現在は事業の立ち上げ段階にある。製品は一つのみ。ザグヒブ氏は、2016年中に試験を終え、2017年に商用化したいと話している。
同システムは1.2メガワット時の容量で、ソニー製の電池576個を使っている。オリビン型リン酸鉄リチウムイオンを用いており、1個あたりの容量は1.2キロワット時だ。
ソニーは、正極材料にオリビン型リン酸鉄リチウムを使用したリチウムイオン二次電池を2009年から商品化している。ソニーによると、リン酸鉄リチウムは資源的にも豊富で、寿命が10年以上という利点がある。
エスタリオンの試作品にとって、この長寿命性能が重要な競争力になる、とザグヒブ氏は説明している。
ただ、発表資料は、「電池モジュールをソニーが製造し、ハイドロ・ケベックのリン酸鉄リチウムイオン技術を使用する」と説明されている。ザグヒブ氏によると、ハイドロ・ケベックはその化学ノウハウを2003年以来、ソニーにライセンス提供してきた。
ハイドロ・ケベックは、独自の研究機関「IREQ」を持っており、500人の研究員と年間1億カナダ・ドルの予算を割いている。同研究所では1967年以来、蓄電技術の研究に投資してきた。
研究班はモントリオール大学と深いつながりがある。ハイドロ・ケベックとモントリオール大学は最近、台湾の電池素材製造大手でソニーとも関係のあるアリース(Aleees、立凱電能科技股?有限公司)と提携関係を結んでいる。
エスタリオンの製品試験はIREQの研究所で行われる。
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
ターゲットとショッピファイが提携 〜 ターゲットのオンラインいちばに中小の小売業者らが出店可能に
-
人工知能銘柄が今後10年の株式市場を動かす 〜 シスコの元CEOのベンチャー・キャピタリストが予想
-
2024年7月8日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
スマート包帯の研究&開発が前進 〜 傷口の状態を遠隔追跡、包帯から投薬や電気刺激を可能に
-
飲食店で印刷メニューが復活~QRコード不評で
-
2024年7月1日 アメリカ発ニュース, 世界のニュース, 環境ビジネス, 米国ビジネス
ウェザーXM、ウェブ3とIoTで気象データに革新 〜 動く気象観測所群の分散型連携網を構築
-
米消費者のガソリン車好き続く~KPMGの意識調査
-
2024年6月27日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
対中EV貿易戦争、様々な副作用も
-
傷が早く治る、次世代ばんそうこう~医師との通信も可能に
-
生体認証決済が米国で拡大しつつある 〜 マスターカードやJPモルガンも導入へ
-
米国特許商標庁、出願者らの個人住所流出が再発 〜「不注意」が原因、影響を受けた人たちに通知