自家用車を売却し、ウーバー、リフトなどの配車サービスを利用して移動する人が増えている。
■車関連の支出が大幅減
ロイターによると、ニューヨーク市在住のウォリー・ノウィンスキさん(32)は、16歳の時住んでいたミシガン州で最初の車を手に入れたが、ニューヨークに引っ越して2年が過ぎた今は移動にライドシェア、カーシェア、バイクシェアを使っており、車は1年以上前に売却した。ウーバーなどをかなり気軽に使っているが、以前は月820ドルだった車関連の支出が250ドルに減ったという。
ロイターとイプソスが2017年4月に実施した世論調査では、米成人の約25%が過去12カ月間に車を売却したことが分かった。そのほとんどは新しい車を購入したが、9%はカーシェアやライドシェアなどのサービスに切り替えている。今後12カ月以内に車を処分して配車サービスを利用する予定という人も同じ割合に上った。まだ数は少ないが、車の所有をライドシェアで代用できると考える消費者が増えている兆候がうかがえる。
■メーカーはウーバー運転手に注目
自動車アナリストのアラン・バウム氏によると、自動車メーカーは配車サービスのドライバーに新しい商機の可能性を感じており、配車サービス技術の迅速な普及は、多くの企業が積極的に投資する自動運転技術の進展につながる良い兆候と考えている。
配車サービスのドライバーは、短期間で走行距離を伸ばし、新車を比較的頻繁に購入する可能性が高い。この市場が長期的なマイカー所有率の低下を穴埋めするかどうかはまだ不明だが、リフトのエミリー・キャスター運輸政策責任者は、ロイター/イプソス調査の結果を「個人的な車の所有が不要な世界の展望が開け始めた証拠のひとつ」と捉えている。
今回の調査はロイター/イプソスが初めて行ったため、車の利用者の間でマイカー所有から配車サービスへの移行が進んでいるかどうかは分からず、回答者にも配車サービスを利用するためにマイカー所有をやめたかどうかを質問していない。現在、米国人の39%が配車サービスを利用しており、このうち27%は週に数回利用している。
■生活習慣が変化
カリフォルニア大学バークリー校(UCB)のスーザン・シャヒーン氏によると、片道カーシェアリング・サービスに関する16年の調査では、配車サービス利用のために自家用車を売却した人が少しいたことが分かっている。
交通コンサルタントのブルース・シャラー氏は、ライドシェアへの動きのほとんどは都市への転入・転出や雇用の変化といった要因で説明がつくと考えているものの、「大きなトレンドではないが人々の生活習慣を変え、自家用車より配車サービスの利用を増やしている人がかなりいる」と指摘する。特にライドシェア、カーシェア、バイクシェアなど多くの車の共用サービスを利用している人の間でそれが目立っているという。
自動車メーカーは、配車サービスなどの需要拡大や自動運転車を最終到達点とする技術の変化に備えており、フォードの広報担当者は「それが、当社が車とモビリティの企業を目指す動機となっている」と話している。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
オレオレ詐欺、音声クローニングで巧妙化 ~ なりすましが見破りにくくなり被害が増える可能性
-
2023年3月16日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
パナソニック、米EV電池工場から多くを学ぶ
-
カーレント・サージカル、革新的ながん治療用「スマート」針を開発 ~ 非常に高い精度で腫瘍だけを熱焼灼
-
2023年3月9日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 環境ビジネス, 米国ビジネス, 自動車関連
NY市、EV普及の課題は充電器の設置
-
IT企業の人員削減、H1Bビザ労働者に大打撃
-
2023年3月2日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
チャットGPT、デジタル販促業務の自動化を促進か ~ 生成人工知能の業務応用、2023年に加速
-
全米小売連盟主催の見本市に見る3大技術動向 ~ 在庫管理合理化、店舗運営の生産性、キャッシャーレス会計
-
スマート家電「非接続派」を説得せよ
-
サイバー保険業界、大規模被害の懸念を強める ~ クラウド・サービスを付保対象外とする事例も
-
2023年2月16日 ハイテク情報, 世界のニュース, 米国ビジネス
北米プーマ、RFID技術を応用して売り上げ増 ~ 在庫管理のさらなる効率化と販売機会喪失防止で成果