小売り大手ウォルマート・ストアズは、オンライン通販部門ウォルマート・コムやジェット・コムで注文された商品の一部を実店舗の店員が通勤途中に配達する実験をしている。
ウォールストリート・ジャーナルによると、実験は数週間前から始まり、アーカンソー州ベントンビルの本社近くにある1店舗と、ウォルマートが2016年9月に33億ドルで買収したジェット・コムのニュージャージー・オフィス近くの1店舗で行われている。これまでに配達した商品は数百個(同社広報)というが、全米に4700店ある実店舗を活用してオンライン小売り最大手アマゾンに対抗する動きとして注目される。
アマゾンは国内45都市で何千種類のもの商品を1時間以内に届けるなど、配送迅速化の取り組みを続けている。ウォルマートの実験に参加できるのは、車を所有し履歴検査に合格した店員で、帰宅途中に配達しやすい場所からの注文を提示するモバイル・アプリを使って、1日に最大10件の配達をする。配達作業には報酬が与えられるが、就業時間に加算されるかどうかなど具体的な条件は不明。
ただし、この試みはいくつかの問題に直面する可能性がある。もし店員が配達に費やした時間が就業時間に加算された場合、一部のパートタイム労働者がフルタイムになる可能性があり、ウォルマートにとって医療費の負担が増え、人件費が上昇する可能性がある。
また、車で通勤していない店員らが追加収入を得られないことに不満を抱くかもしれない。さらにオンライン注文品の店内受け取りや他の通販サービスに関する作業ですでに混雑している店がさらに混み合う可能性もある。
ウォルマートはオンライン通販を始めるのがかなり遅かったが、最近は新しい発想をすぐに実行するようになっている。eコマース部門責任者のマーク・ロア氏は16年9月の就任直後にいくつかの小規模オンライン企業を買収し、新しい価格設定や配送方法を発表している。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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