自動運転車の死亡事故、法整備にも影響か

 自動運転車で初の死亡事故が発生し、関連法整備の促進に力を入れてきた自動車業界は大きな試練に直面している。
 
 ロイター通信によると、事故は18日夜に発生し、ウーバー・テクロジーズの自動運転車がアリゾナでの公道試験中に歩行者女性をはね死亡させた。直前の18日にはウーバーやアルファベット傘下の自動運転車開発部門ウェイモが、関連法案の迅速な承認を上院に呼びかけたところだった。
 
 従来の自動車安全規則は、免許を持つ人間が常に車を操作するとの前提で作られており、自動運転車の導入には大幅な法修正が必要になる。業界関係者は以前から「自動運転車でも衝突や死亡事故はあるだろうが、交通法規に従うようプログラムされたロボティクスシステムには人間のような注意力低下や居眠り運転などがないため、救われる命の方がはるかに多い」と主張してきた。
 
 国家運輸安全委員会(NTSB)元委員長のマーク・ローゼンカー氏は、米国では年間600万件以上の交通事故が発生し、歩行者6000人を含む約4万人が死亡している現状に触れながら、ウーバーの事故に過剰反応すべきではないと指摘。それでも「残念ながら業界には障害となり、関係者は自動運転技術に対する公共の信頼回復に取り組まなければならなくなる」と述べた。
 
 当面の影響としては、自動運転車のテストを加速させる法案の通過がさらに遅れるか内容が変更される可能性がある。法案はすでに安全を懸念する多くの民主党議員の反対で審議が止まっている。アンソニー・フォックス元運輸長官は「この事故は、安全を最優先すべきという業界と政府への警鐘」と見ている。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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