ワシントン大学の研究&開発から独立した新興企業ペリマティクス(Perimatics)は、医療現場で日常的に起きるさまざまの問題を人工知能によって解決するソリューションの開発で台頭中だ。
ギークワイヤー誌によると、病院向けに多種多様の技術を開発するペリマティクスは 現在、手術室の使用予定管理に焦点をあわせた人工知能基盤ソリューション事業に注力している。
外科医は通常、手術室を予約して使うことが義務づけられるが、手術が予定通りに始まって想定通りに終わるとはかぎらない。そのため、1件の手術が遅れると、その後の手術室使用予約に支障が出る。
調べによると、米国では、手術が予定通りに終わるのは半数に満たず、それによって年間52億ドルの損失が出ている。ペリマティクスはそこで、患者や執刀医のデータを人工知能で分析することで、手術室予約管理を最適化するソリューションを開発した。
同社が開発した機械学習アルゴリズムはまず、患者の年齢や手術歴といったデータをもとに手術時間を予想する。そして、執刀医に関するデータも機械学習で分析し、執刀医の特徴や傾向も加味して手術時間を予想する。さらに、麻酔医や執刀助手、オペ看(手術室で器械出しを担当する看護師)の稼働状況に関する全データも分析し、突発的状況が起きた場合でも即応できる予定変更にも備える。同社のソリューションは、それらの要素をすべて考慮して手術室使用予約を包括的に最適化することで、手術室の稼働を最大限化する。
同ソリューションは現在、シアトルの医療機関ですでに採用されている。導入の結果、手術が予定時間を上回る件数が20%減り、手術関係者たちの超過勤務コストを年間100万ドル削減した。
ペリマティクスによると、手術が長引いた場合、手術関係者の残業代に加えて手術室使用にかかるコストが1分あたり62ドル発生する。
ペリマティクスは、ワシントン大学のコモーション研究室(CoMotion Lab)から独立 した127社目の新興企業。
【https://www.geekwire.com/2018/univ-washington-spinout-takes-on-5-2-scheduling-problem-with-custom-ai-analytics/】 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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