スイッチ・オートメーション、米国進出

 集合住宅や商業施設向けのエネルギー管理ソフトウェアを手がける豪州企業のスイッチ・オートメーション(Switch Automation)は、米国市場の開拓に本腰を入れ始めた。

 同社は2009年、集合住宅向けのエネルギー監視装置を手がける企業として設立された。しかし、2011年に事業モデルを変更し、クラウド技術を生かしたソフトウェア開発会社に転換した。

 グリーンテック・メディア誌によると、ハードウェア開発の事業モデルは「あまりにも複雑」で事業成長が望めないことが明らかになったと、同社のデブ・ノーラー最高経営責任者(CEO)は話す。

 事実、建物管理技術を手がける企業のほとんどが、クラウド向けのエネルギー管理ソフトウェア市場攻略へと乗り出していた。

 エネルNOCやハネウェル、ジョンソン・コントロールズ、シュナイダー・エレクトリック、シーメンスといった多数の大企業が、サース(SaaS)製品を相次いで市場投入している。

 また、ハラ(Hara)やファーストフュエル(FirstFuel)、ノエシス(Noesis)、レトロフィシエンシー(Retroficiency)といった新興企業も、ウェブ基盤の監視ツールを開発している。

 スイッチ・オートメーションはこれまでにオーストラリアで集合住宅5件、商業施設30件以上のプロジェクトを手がけてきた。多数の企業が競う米国市場への参入に際しては、グリーン建物の開発プロジェクトに狙いを定めている。

 「ダッシュボードを開発している企業は山ほどあり、ほとんどは電力データの報告機能を中心としている」「当社は、グリーン建物と規制当局への報告を必要とする企業に焦点を絞っていく」と、ノーラー氏は説明する。

 ソフトウェア開発はハードウェア事業に比べれば敷居が低いが、スイッチ・オートメーションにはなおも解決すべき参入課題が残されている。米国市場で販路を拡大するには、電気工事を手がける業者や建物管理会社のつながりを開拓する必要がある。

 その点からも、新しい管理技術を積極的に取り入れる傾向があるグリーン建物を市場開拓の糸口にするのは、理にかなっているかもしれない。

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