米連邦政府機関は、空港での乗客と手荷物にも立体スキャナーを導入する試験運用を本格化させた。フォーブス誌によると、スキャニング技術の向上によって、二次元スキャナーの代わりに立体スキャナーを空港保安に活用できるようになりつつある。
▽不審物発見の精度を向上
アメリカン航空(American Airlines)と運輸保安局(TSA=Transportation Security Administration)は、手荷物検査用に最新型の立体エックス線スキャナーを導入する試験の実施に向けて提携した。新型スキャナーの試験運用は、ニューヨーク市郊外にあるジョン・エフ・ケネディ (JFK)国際空港で7月末までに開始される見通し。最新の画像技術は、不審物発見の精度を向上させ、さらに検査官による追加検査の数を減らすことで、空港保安検査の迅速化と混雑解消に寄与する可能性がある。
▽開発したのはアナロジック
アナロジック(Analogic)が開発した同スキャナーは、コンピュータ断層撮影(CT)法を利用し、手荷物の立体画像を作成するというもの。 CT検査は、ほとんどの空港で預け荷物の検査に導入されているが、機械が大きいことから、旅客と手荷物の検査にはほとんど使われていない。アナロジックの新技術は、CT検査機の大きさに関する問題を解消した。 手荷物の検査にCT技術を導入することで、検査官は従来の二次元エックス線技術を利用する場合に比べ、物体の形状や素材をより正確に判断できるようになる。
▽高コスト、大がかりの設置準備、消費電力という難点も
その一方で、立体CT技術の導入には難点もある。二次元技術の場合よりもコストがかかり、より大がかりの設置準備が必要となる。イリノイ州のアミータ・ヒンズデール病院の放射線科医師は、立体CT技術について、導入には従来とわずかに異なる基盤施設が必要であり、一般的に機械の消費電力も、二次元スキャニング技術の場合より大きいと指摘。さらに、より厳格な遮蔽措置が必要であり、空港保安検査場のように混雑した環境では対応が難しい可能性があると指摘する。
▽フェニックスとボストンでも
そういった課題はあるものの、立体CT技術は保安検査場での乗客と検査官の負担を軽減するという点で、コストを上回る利益をもたらすと期待される。JFK空港での試験は、第8ターミナルで7月末までに開始される予定。アメリカン航空は立体CTスキャニング技術の試験をアリゾナ州フェニックスとマサチューセッツ州ボストンの空港ですでに進行中だ。
【https://www.forbes.com/sites/grantmartin/2018/07/22/tsa-and-american-airlines-to-launch-3d-scanning-technology-for-carry-on-bags/#1ee729501aab】 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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