IPOブームは大きな期待はずれに ~ ウォール街とシリコン・バレー、企業評価を見直し

ハリウッドの芸能人代理事務所エンデヴァー・グループ(Endeavor Group)は先日、新規株式公開(IPO)計画を棚上げした。事務空間共用サービス最大手ウィーワーク (WeWork)がIPOの延期を決めたことも大きく報じられたばかりだ。

シリコン・バレー新興企業らを中心とした一連のIPO延期は、新興企業の評価額の見直しをベンチャー・キャピタリストたちや投資会社らに強いており、2019年がIPOブームの年になる、という当初の期待を大きく裏切る動向が鮮明化している。

フィナンシャル・タイムズによると、フロリダ大学ファイナンス学のジェイ・リター教授は、「企業価値評価の転機が訪れた」「(約10年間にわたる好況で新興企業の評価額が高騰してきたが)ようやく正気を取り戻してきた」と話した。

近年における最大のIPOを5月に実施したウーバー(Uber)は、人件費をはじめ、販促や技術開発への投資がかさんで黒字転換のきざしすら見えず、時価総額を継続的に低減させている。ウィーワークは、赤字経営やCEOの不正疑惑および大麻使用といった報道によって、1月時点での評価額470億ドルが150億ドルにまで大暴落し、先日にはCEOが実質的に更迭された。

2019年の3大IPOであるリフト(Lyft)とウーバー、ペロトンの株価は、3社を平均すると上場時から28%も下落している。

ソーシャル・メディアのピンタレスト(Pinterest)と動画会議サービスのズーム(Zoom)が例外的で、前者の株価は上場以来44%、後者は120%の上昇を記録している。

しかし、注目されてきた新興企業らの財務や評価額に対しウォール街が厳しい目を向け始めたことで、ことしのIPO市場は全体的には近年まれに見る冷え込み状態に追いやられた。

「市場は泡立っているが、明らかなバブルではない」「その点は、20年前のドット・コム・バブルと異なる」とリター氏は述べた。

【https://www.ft.com/content/43b51672-e148-11e9-9743-db5a370481bc】 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
STS Career

注目の記事

  1. 2025年10月8日

    美しく生きる
    菊の花 ノートルダム清心学園元理事長である渡辺和子さんの言葉に、「どんな場所でも、美しく生...
  2. 2025年10月6日

    Japanese Sake
    日本の「伝統的酒造り」とは 2024年12月、ユネスコ政府間委員会第19回会合で、日...
  3. アメリカの医療・保険制度 アメリカの医療・保険制度は日本と大きく異なり、制度...
  4. 2025年6月4日

    ユーチューバー
    飛行機から見下ろしたテムズ川 誰でもギルティプレジャーがあるだろう。何か難しいこと、面倒なこ...
  5.        ジャズとグルメの町 ニューオーリンズ ルイジアナ州 ...
  6. 環境編 子どもが生きいきと暮らす海外生活のために 両親の海外駐在に伴って日本...
  7. 2025年2月8日

    旅先の美術館
    Norton Museum of Art / West Palm Beach フロリダはウエ...
  8. 約6億年も昔の生物たちの姿が鮮明に残るミステイクン・ポイントは、世界中の研究者から注目を集めている...
ページ上部へ戻る