レジを置かない自動決済システムを試験運用する小売店が、米国で拡大中だ。
■アマゾン・ゴーに続け
ウォールストリート・ジャーナルによると、欧州でも小売チェーンがレジなしシステムを試験運用中だが、米欧のシステムはそれぞれ少しずつ異なり、また、店の規模や商品によってシステムの向き不向きもある。
レジなし店は、アマゾンが2018年、アマゾン・ゴー(Amazon Go)の第1号店をシアトルにオープンしたことで実現した。ニューヨーク市とサンフランシスコでも開店し、ゴーは現在全米に15店舗ある。
ゴーのシステムでは、客が手に取った商品をカメラやセンサー、人工知能 (AI)が認識、追跡し、客が商品とともに店外に出ると自動課金される。
レジなし決済技術は、スタンダード・コグニション(Standard Cognition)や、ジッピン(Zippin)のブランドで事業展開するVコグニション・テクノロジーズ(Vcognition Technologies)などが提供している。
■サムズ・クラブはスマホ利用
レジなし店舗の実用化を進めている小売大手には、ウォルマート傘下の会員制量販店サムズ・クラブ(Sam’s Club)をはじめ、ペンシルベニア州やオハイオ州で食料品小売チェーン店を展開するジャイアント・イーグル(Giant Eagle)がある。
ジャイアント・イーグルは7月、本拠地ピッツバーグ市内のコンビニエンス店でアマゾン・ゴーに似た技術を試験運用すると発表した。
サムズ・クラブは、ダラスの支店に同様の技術を8月末に導入する予定。同店舗の床面積は3万2000平方フィートで、平均的なサムズ・クラブ店舗の4分の1の大きさだ。
サムズ・クラブでは、客が自分のスマートフォンのカメラ機能を使って商品をスキャンする。その画像がクラウドに転送され、画像認識によって商品が特定され課金される仕組みだ。
■英仏大手も独自システム開発
調査会社IDCが6月、世界各地の小売会社400社を対象に実施した調査では、28%がレジなしシステムを試験運用中だと答えた。
英スーパーマーケット大手テスコ(Tesco)や仏大手カルフール(Carrefour)も同様の技術を試験している。テスコの場合、センサーは使わずカメラだけを使う方法を採用している。これなら競合システムの10分の1のコストで導入できるという。
■量り売りの生鮮食品は不向き
すべての小売店がレジなし決済に適しているわけではない。ウォルマートは100店舗以上で約6カ月にわたってバーコードをスキャンする自動決済システムを試験運用したが、18年4月に中止した。
同社によると、生鮮食品のように重さを量って代金を確認する必要がある場合は、レジなしシステムはむしろ遅いという。
また、客が手作業でスキャンするシステムの場合、窃盗の懸念も否めない。サムズ・クラブの試験運用では、店員が出入り口で客1人につき商品1点だけ抽出して、領収書と照合している。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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