各社の販促担当者は、標的市場の特定や自社製品の売り込みに、消費動向に関する多種多様のデータを活用するため機械学習技術に注力している。アントレプレナー誌では、成果を機械学習によってあげている事例としてベン&ジェリーズとマツダ、セフォラを紹介した。
▽ベン&ジェリーズ
アイスクリーム・メーカー大手ベン&ジェリーズは17年に、新しいブランドの「フルート・ルート(Fruit Loot)」「フローズン・フレイクス(Frozen Frakes)」「ココア・ロコ(Cocoa Loco)」を立ち上げた。いずれも、「シリアル・ミルク」を使った朝食向けの商品だ。
ベン&ジェリーズは、ブランドを立ち上げる際に機械学習技術を使って、非構造化データから洞察を導き出した。
非構造化データは、ソーシャル・メディア上の投稿内容や、スマートフォンに保存されている通信履歴といったデータ。データ解析システムに接続していない情報や自然言語による情報だ。構造化データは、表計算アプリケーションといったソフトウェアで作成されたデジタル書類からデータや情報を解析システムに簡単に取り込める種類を指す。
非構造化データの解析は非常に面倒な作業だったが、アプリケーションやプラットフォームの進化によって、人工知能基盤の解析システムと連携させることが可能になった。
ベン&ジェリーズでは、新商品の開発に際して音楽を分析したところ、「朝食にアイス・クリーム(Ice Cream for Breakfast)」という語句が50曲以上の歌に使われていることをつきとめた。さらに、同じ語句が歌以外にも引用されることがめずらしくないことも判明させた。
同社は日々のくらしのなかで、そういったメッセージが身近な存在として浸透している、という結論を出し、消費者がアイス・クリームを朝食として食べる行動に抵抗を感じないと判断し、朝食向けアイス・クリーム・ブランドを打ち出した。
▽マツダ、インフルエンサーをワトソンで特定
マツダは、新車「CX-5」の売れ行きに影響をおよぼす可能性のあるインフルエンサーを特定するために、IBMの人工知能「ワトソン」を使った。
マツダは、テキサス州オースティンで2017年に開催された娯楽業界催事「SXSW(South by Southwest)2017」でCX-5を発表する際に、どの情報発言がSXSWで影響力を持つのかを調べるために、ワトソンにソーシャル・メディアを分析させた。
SXSWは、双方向メディアや映画、音楽業界の統合催事で、最先端の情報および娯楽媒体技術や動向が毎年披露される。
マツダは、ワトソンが特定したインフルエンサーからさらに人選してCX-5の試乗と体験の発信を依頼した。インフルエンサーは、CX-5を運転して街なかを走り、その様子や感想をインスタグラムにあいついで投稿し、CX-5試乗体験報告を世界中に拡散させた。
▽セフォラ、得意客への売り込みメッセージを個人化
化粧品小売チェーン大手セフォラは、販促用電子メール・メッセージの個人化に機械学習技術を使っている。
セフォラ・ブランドの購入パターンを機械学習によって分析し、個々の消費者に応じて個人化された推薦商品を電子メールで売り込んでいる。
その結果、販売効率を70%も向上させ、販促のための分析時間を5分の1に短縮し、販促関連の支出も大幅に削減した。
【https://www.entrepreneur.com/article/338447】 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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