ホンダは、交通事故の体験談を通して車の安全性を強調するソーシャルメディア・キャンペーンを展開している。
■つぶれた車を出展
オートモーティブ・ニュースによると、同社は大規模なメディアキャンペーン「Safety for All」の一部として、全米の自動車ショーで衝突試験に使われた「シビック」を展示する一画「Safety Zone」を設けている。
いずれも公式の衝突試験でつぶれた車で、ぴかぴかに磨かれたショーの展示車の中でひときわ目を引き、たちまち人々の会話を誘発する。ホンダは当初、来場者に敬遠されるリスクも懸念したが、4月のニューヨーク自動車ショーで大破した「HR-V」クロスオーバーを展示したところ、人々が自身の体験談を語り始めたため、安全に関する対話のきっかけになると確信した。
■動画で体験共有
現在はこれをもう一歩進め、事故を経験した人がフェイスブックやインスタグラムなどのソーシャルメディアを使って体験談を公表するキャンペーンを始めた。事故経験者は、30秒のビデオで死の恐怖や一命を取り留めた喜びなどを語っている。
南カリフォルニアに住む看護師カイル・ショールズさんの場合、その年最初の雨が降った日の午前3時半ごろ、出勤のためシビックに乗って高速道路を時速75マイルで走行中、水たまりでハイドロプレーニング現象が起き、制御不能になった車は5回も横転したという。仕事柄、大事故に遭って救急治療室に担ぎ込まれるけが人の様子を知っているため、車が止まった後は体中を触って傷の有無を確認したが、指を1本骨折しただけで翌日から仕事に復帰した。
事故の凄まじさは、心配して様子を見にきた後続車のドライバーが「中の人は絶対死んでいると思ったから、車は止めたけど怖くてしばらく出られなかった」と話すほどだったという。
危うく助かったショールズさんは、ホンダに直接謝意を伝えようとフェイスブックに「普段商品のリビューなど書かないが、今回はホンダとその驚くべき車に感謝しなければならない」と書き込み、ホンダのソーシャル・メディア・チームがこれを見つけた。
■安全評価の確認を
ショールズさんは、今は安全に関する会話に参加し「これまではディーラーに行っても『車の安全評価や試験の方法は?』などと聞いたことはなかったが、ブルートゥース接続が可能か尋ねるのと同じように安全性の確認は必要だ」と呼びかけている。
ホンダの広報担当者は「当社はクラッシュテストで高評価を得ている。われわれは安全な車を作り、顧客は素晴らしい体験談を聞かせてくれる。それを説明するため少し内輪の話を公開したかった」と話しており、今後も新しいサバイバルストーリーを紹介してソーシャルメディア・キャンペーンを拡大していく予定だ。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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