サイバー攻撃、天然ガス導管網を標的に

 米国内の天然ガス・パイプラインを標的としたサイバー攻撃が発生し、専門家は中国軍が関与した疑いが強いという見方を示した。

 クリスチャン・サイエンス・モニター紙が米政府報告書の一部開示内容や消息筋の話として報じたところによると、中国軍と結び付きがあるサイバースパイは、2011年12月から2012年6月の半年の間に、米国内23ヵ所で国家安全を侵しかねない機密情報を盗んだ。

 国土安全保障省(DHS)によると、スパイはパイプラインを管理する主要人物宛に偽の電子メールを送り、悪意あるリンクや添付書類をクリックさせ、当該企業の通信網に侵入した。

 報告書は中国に言及していないが、調査したサイバーセキュリティ専門家は、攻撃に使用されたデジタル署名について、中国軍と関係する諜報活動グループに属していると特定した。

 専門家の間では、今回判明したサイバー攻撃がこれまで最も深刻な部類に入るという見方がある。盗まれた機密ファイルは、利用者名や暗証語から関係者リスト、操作マニュアルまで、サイバー侵入者がパイプラインを思いのままに管理する能力を与えるためだ。

 捜査するサイバー緊急事態対応チーム(ICS-CERT)の消息筋によると、ハッカーは入手したデータを通じ、コンピュータで管理されるシステムをリセットした後に、過度のパイプライン圧力や不安全な弁設定で妨害し、爆発といった故障を引き起こすことができる。

 サイバー攻撃の専門家であるジョン・バムガーナー氏は、「天然ガス・パイプラインは米国の死活的な基幹設備リストのなかでも上位にあるので、攻撃の標的になるのは当然」と語った。

 関与が疑われている犯罪グループはこのほど、世界141企業を標的にした攻撃を調べたサイバーセキュリティ企業の米マンディアント(Mandiant)によって、上海にある12階建てのビルを根城にする「Unit 61398」と特定された。

 中国政府はサイバースパイと軍の関係を否定している。

 これまでのところ、パイプラインが妨害された形跡はみられない。専門家によると、エネルギー需要が急増する中国は、シェール(頁岩)から天然ガスを抽出するフラッキング(水圧破砕)の技術に関心を示している可能性がある。

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