紫外線で航空機内を除染~新型コロナで既存技術に脚光

滅菌ロボット専門メーカーのダイマーUVCイノベーションズ(Dimer UVC Innovations、カリフォルニア州)では、2014年に発売した紫外線(UV)で航空機の客室を除菌する洗浄機「GermFalcon(ジャームファルコン)」の需要が急増している。

ロイター通信によると、共同設立者のエリオット・クライテンバーグ社長は 「パンデミック(世界的大流行)の発生によって業界の需要が高まることを望んでいたわけではないが、現実はそうなっており、可能な限り速くユニットを生産している」と話している。販売台数は公表していないが、新型コロナウイルスの感染拡大中は無料で業界にこの機械を提供しているという。

ジャームファルコンは、機内食の配膳で使われるフードカートのような形をしており、人が押して通路を移動させながら、左右に翼のように伸びた部分から放出される短波長紫外線(UV-C)で客室内の表面を消毒していく。オペレーターは防護フィルムによって有害な紫外線から守られ、1本通路のナローボディー機なら3分で消毒できるという。

UV-Cは、生物内の核酸に損傷を与えて複製を阻止でき、病院や実験室ではかなり一般的に消毒に使われているが、これまで飛行機など医療や研究以外で使われることは少なかった。紫外線には長波長のUV-A、中波長のUV-B、UV-Cと3タイプがあり、UV-Cが最も有害で、太陽からの紫外線の約95%はUV-Aの形で地球に届く。

紫外線は空中の飛沫中のウイルスを殺すことで知られているが、医療専門家は、新型コロナウイルスに感染した細胞を狙って放射する目的で人体に使うことはできないと述べている。

カナダの東オンタリオ小児病院(CHEO)研究所などは、UV-Cを使ってN95防塵マスクなど個人用防護具(PPE)を消毒することを検討している。また、カリフォルニア大学サンタバーバラ校によると、韓国のソウル半導体は表面の除染を目的に紫外線LEDの研究に取り組んでおり、同社は「30秒でコロナウイルスの99.9%を殺菌できる」と報告している。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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