新型コロナウイルスによるロックダウン(都市封鎖)の緩和に伴い、屋内より感染リスクの少ない屋外で接客しようと考える飲食店や小売店の間でテントの需要が高まり、業務用テントメーカーには注文が殺到している。
■4月販売は47%増
ウォールストリート・ジャーナルによると、テントやキャンバス地は、企業が競って購入・レンタルしているさまざまな物品の一部で、接触回避用のプレキシグラス(アクリルガラス)や衛生用の除菌剤などと同様、労働者や顧客をウイルスから守るために必要とされている。一部の製造業はそれによって収入が増えているが、レストランや小売店にとってはロックダウンによる大幅な減収に続く再開準備のための経済的負担になっている。
ウォルマート、イーベイ、ホームディーポなど40の小売店では、4月のパーティー用テントやイベント用キャノピー(日除け)の売上高が前年同月比で47%増加した(調査会社エジソントレンド)。公衆衛生の専門家によると、屋外で他人と一定の距離を保てばウイルスの感染リスクは最小限に抑えられる。
イーベイ、ウォルマート、アマゾンなどの小売業者を通してテントやキャノピーを販売しているテキサス州のデルタ・キャノピー(Delta Canopy)の場合、売り上げが伸びたのは5年ぶり。アシスタントマネジャーのアンバリー・スレイブンス氏は「いつもこの時期は忙しいが、今年はおそらく3倍増」と話している。
イリノイ、アイオワ、ミシガン各州で販売・レンタルするブルー・ピーク・テンツ(Blue Peak Tents)によると、レストランは、社員の感染スクリーニング作業や食堂・休憩室のスペース拡大のためすでにテントを借りている他の企業と競合することになる。
大手法律事務所モルガン・ルイス&バッキアスの小売り・eコマース担当者によると、小売店は試着用テントなど屋外へのスペース拡大を検討しており、マサチューセッツ州のアマースト大学は一部のクラスや活動を屋外で行う予定で、20張りのテントと屋外用のいすを注文しているという。
■レストランは中庭から再開
アリゾナ州では、一部のレストランがエアコンの付いた仮設の囲いで座席数を増やそうとしている。フェニックスのイベント用品レンタル店PROEM Party&Event Rentalsの代表者によると、1平方フィート当たりのコストは普通のテントは1~2ドルだが、エアコン付きの密閉型は10~12ドル。
シカゴ市議のブレンダン・ライリー氏も、屋外用シートがオフィス労働者や観光客の呼び戻しを助けると考えている。通常は屋外席の設置許可取得に数か月かかるが、できるだけ早くテントを設営したいという飲食店経営者からの要請が市に殺到しており、ライリー氏は一定期間通行止めにして飲食店用に開放できる通りはないかと市内を歩き回っている。
ミシュランで星を獲得している同市内リンカーンパークのレストラン「ボカ」は、まず中庭のテーブル数脚から通常営業を再開する予定で「今ほとんどの店が取り組んでいるのは、毎晩テントを撤収すべきかといった問題」だという。同じリンカーンパークの「トリポリ・タップ」も中庭に屋根を作るためのテントを借りる計画で、以前は夏の晴れた日には中庭に50人を座らせていたが、6月上旬の再開後は着席用はテーブル8脚にとどめ、1人20ドルのミニマムオーダーを設定している。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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