2020年の年末商戦における米オンライン販売は、新型コロナウイルス・パンデミック下でも好調を記録すると予想される。米国は、ブラック・フライデイ(感謝祭翌日の金曜)からクリスマスまでの年末商戦期に突入する。テッククランチ誌によると、全米小売業協会と市場調査会社イーマーケターはこのほど、オフライン小売市場では低迷する一方でオンライン販売では記録的成長になるという予想を示した。
▽全米小売業協会、前年比20~30%増と予想
全米小売業協会(National Retail Federation=NRF)は、ことしの年末商戦期における米小売販売高(オフラインとオンラインの両方を含む)が前年比3.6~5.2%増の7553億ドル~7667億ドルに達すると予想する。2019年には前年比4%増の7291億ドルだった。過去5年間の平均は3.5%増だ。
NRFは、増加分のほとんどがオンライン販売で占められ、ことしの場合、オンライン小売販売高が前年比20~30%増の2025億ドル~2184億ドルに達し、2019年の1687億ドルから大幅に増える、と予想する。
▽心理的要因が作用か
NRFの要点としては、消費者の購買意欲は非常に旺盛で、パンデミックという未曾有の厳しい年だからこそ支出する意思を強めている、というものだ。「例年より良い年末だと感じられるようにしたいという心理的要因がある」とNRFのジャック・クラインヘンツ主任エコノミストは指摘する。
NRFによると、米消費者は個人向けサービスや旅行、娯楽といった分野での支出をパンデミックによって劇的に減らしてきたため、年末商戦での買い物に回す現金を十分に持っているとみられる。
▽成長分はオンライン販売に牽引される
かたや、イーマーケター(eMarketer)は、NRFよりやや保守的な予想を示した。イーマーケターによると、ことしの年末商戦は前年比0.9%増という近年でもっとも小さな成長にとどまる見通しだ。
成長分はオンライン小売によって占められるという見方では、イーマーケターの予想はNRFと同じだ。
▽イーマーケター、前年比35.8%増と予想
また、イーマーケターは、オンライン小売販売高が前年比35.8%増を記録し、同社が 2008年に記録を開始して以来最大の成長となると予想する。その一方で、オフライン小売市場については4.7%減を強いられる、というのがイーマーケターの予想だ。
両社の予想をくらべると、NRFは小売全体としてはイーマーケターより楽観的だが、オンライン販売だけをみるとイーマーケターの予想のほうがNRFより楽観的だ。
▽オンライン販売、第3四半期からすでに好調
米オンライン販売の好調はすでに始まっている。NRFの調べでは、2020年第3四半期の米オンライン売上高は前年同期比36.7%増を記録した。
NRFによると、米消費者の一部は、パンデミックを受けた巣ごもり状態のなか、年末商戦の買い物を前倒ししてオンライン購入を増やしており、それが第3四半期のオンライン販売好調の主因になったとみられる。
NRFの予想である20~30%増になるのか、イーマーケターの35.8%増になるのか、年末商戦が終わるまでだれにもわからないが、いずれにせよオンライン販売がことしの年末商戦を支えることに変わりはないといえる。
▽成長率では感謝祭当日が最大か
また、イーマーケターは、サイバー・マンデイ(感謝祭連休明けの最初の月曜日)でのオンライン販売がことしもブラック・フライデイを超えると予想する。同社の予想では、ことしのサイバー・マンデイのオンライン販売高は128.9億ドルで、ブラック・フライデイの102億ドルを抑えると見込まれる。
しかし、オンライン販売の前年比成長率では、感謝祭当日(11月の最終木曜)が 49.5%で米5大オンライン買い物日の最高を記録する、とイーマーケターは予想する。
同社によると、オンライン販売の前年比成長率では、米5大オンライン買い物日のうちブラック・フライデイが感謝祭当日に次いで大きく、そのあとをスモール・ビジネス・サタデイ、サイバー・サンデイ、そしてサイバー・マンデイと続く見込みだ。
年末商戦は、米小売業界にとって年間を通して最重要の繁忙期であり、その4週間だけで年間総売上の半分近くを売り上げる商品分野や小売業者もいる。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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