培養肉を生産するアレフ・ファームズ(Aleph Farms)とタンパク質の生産技術を提供するワッカー(WACKER)は、培養肉生産のコスト効果向上につながる成長媒介タンパク質の合理的な生産過程(手法)を開発した。
ベイカーズフィールド・カリフォルニアン紙によると、細胞成長の促進で重要な役割りを果たす同タンパク質は、現時点では広く市場に流通しておらず、培養肉の生産を大規模化するうえで大きな課題となってきた。
ワッカーとアレフ・ファームズの提携関係は独占契約ではないため、培養肉を生産する他企業もこのタンパク質を入手できる。それによって生産量が増えれば、通常の食肉と競争できる手ごろ価格で供給できるようになると期待される。
「コストを引き下げ、適切な原材料を広く流通させることは、生産拡大という現在の重要な段階にとって欠かせない。業界全体で使える供給網ソリューション開発に対する投資は、当社の包含的な事業モデルであり、ワッカーとの提携関係の理由でもある」と、アレフ・ファームズの共同設立者兼CEOのディディア・トビア氏は話した。
イスラエル拠点のアレフ・ファームズは、牛を殺傷せずに採取した細胞を使い、遺伝子工学操作も行わずに、ステーキ肉を直接培養した初の会社となった。
ドイツのミュンヘンを拠点とするワッカーは、タンパク質生産において20年以上の実績を持つ。同社は、細胞培養タンパク質を生産するための発酵技法を開発している。その技法で生産されたタンパク質は、動物の体内で生産されるタンパク質と同じ構成だ。同様の技法は、食品加工用の酵素生産ですでに広く用いられている。
「培養肉の市場は急速に拡大しつつある。それを手ごろ価格で提供するのに貢献したい」と、ワッカー・バイオソリューションズ(WACKER BIOSOLUTIONS)のスザンヌ・リオンハーツバーガー氏は述べた。
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