不動産会社が倉庫のリース更新時により高い価格を提示するようになっており、長期契約の賃貸料が急上昇している。不動産サービス大手CBREグループが最新報告書で伝えた。
■5年契約料は平均25%上昇
ウォールストリート・ジャーナルによると、2021年に5年リースが切れた産業用不動産の賃貸料は、前回のリース終了時から平均25%上昇した。この上昇は、消費者の旺盛な需要とeコマース事業の好調による流通用スペースの需要急拡大を受けた動きで、これまでは長期契約によって倉庫費用の上昇が避けられた顧客にも、サプライチェーン・コストの高騰が押し寄せている。
CBREの産業およびロジスティクス担当責任者ジョン・モリス氏は「産業用スペースの需要に緩和の兆しは見られない。これほど高い水準への上昇は見たことがない」と話す。
CBREの以前の報告書よると、全米の平均空室率は21年7~9月期に3.6%と前年同期の4.3%から低下し、02年以降では最低となった。特に南カリフォルニアのインランド・エンパイアのような主要な流通拠点ではスペースが不足気味で、最近の空室率は0.7%まで下がっている。7~9月期のリース料金は前年同期比10.4%上昇した。
■インフレ長期化にも影響
7~9月期に更新された長期リース賃貸料の上昇率は、倉庫需要の高い地域ほど大きい。ニュージャージー州中部、フィラデルフィア、ロサンゼルス/ロングビーチ港に近いインランド・エンパイアでは、新しい賃貸料が16年に始まったリースより60%以上高くなっている。
ペンシルベニア州立大学スミールビジネスカレッジのブレント・モリッツ准教授(サプライチェーン管理学)は、商品の迅速な配達を期待する消費者にサービスを提供するため、荷主は人口密集地に近い倉庫スペースの価格上昇を受け入れていると指摘。こうした客にサービスを提供するための高額な費用は「消費者の高い需要が続く限り終わらない」と見ている。
CBREのモリス氏によると、通常倉庫の保管費用は企業全体のロジスティクスコストの4~6%を占め、人件費や輸送費の方がはるかに大きいが、ビジネスが倉庫に依存している場合は、利用側が倉庫費用を抑えるために戦略的にできることはほとんどないという。
多くの小売業者や製造業者は、サプライチェーン・コストの上昇を顧客に転嫁しており、10月のインフレ率は過去30年で最高だった。これまで「物価の上昇は新型コロナウイルス禍の供給制約による一時的な影響の可能性が高い」と説明していた当局者も、今では考え方を変えている。連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は11月末の上院公聴会で、FRBはインフレの持続期間を読み誤った可能性があり、物価の上昇を説明する際に「一過性」という言葉を使うことをやめる時期に来た可能性があると述べた。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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