キャンピングカー(RV=recreational vehicles)業界は、製造業界の深刻な供給問題や国内でのインフレ進行にもかかわらず、2021年は生産量を大幅に増やし、記録的に収益を伸ばしている。
■感染リスクを避けながら旅行
ロイター通信によると、業界大手ウィネベーゴ・インダストリーズ(Winnebago Industries、本社アイオワ州)は10月、2020会計年度(19年9月~20年8月)の売上高が前年比50%以上増加したと発表。17日に発表した22年度第1四半期は前年同期比46%増の12億ドルと、2四半期連続で10億ドルを超えた。
また業界最大手のソー・インダストリーズ(Thor Industries、インディアナ州)が最近発表した22年度第1四半期(21年8~10月)決算も好調で、10月末現在の受注残高は180億ドル超と前年度同期比100%増加している。
RV業界は、新型コロナウイルス禍による供給不足やそれによる鉄鋼やプラスチック、電子機器、発泡材などあらゆる原材料価格の高騰にもかかわらず、いかに多くのメーカーが成長したを示す代表例となっている。感染拡大の初期には、感染を心配する人々がモーテルに宿泊したり飛行機に乗ったりする危険を冒さずに移動する方法を探し始めたため、RV販売の急増が始まった。
感染拡大によってさまざまな種類のアウトドア産業に活気が生まれ、最初のロックダウン(都市封鎖)後にはスイミングプール、ボート、全地形対応車(ATV)などの販売が急増した。
ソーの本社があるインディアナ州北部のようなRVの主要生産地では、労働者が足りず求人に苦労しているが、そうした支障にもかかわらず業界の生産や出荷はこれまでになく増えている。調査会社ITRエコノミクスの予想では、21年の北米RV卸売出荷台数は60万2200台となり、20年比では40%増、過去最高だった17年比でも19%増と記録を更新する見通しで、22年は61万3700台とさらに2%増加が見込まれる。
■値上げの影響も限定的
現在26州で90店舗を展開するRVリテイラー(RV Retailer、本社フロリダ州)のジョン・フェランドCEOによると、原材料価格の上昇や、モーターホーム(自走式RV)やトレイラー(けん引式)を工場から店まで運ぶための人件費と輸送費の高騰などで、同社は例年のように一度ではなく何回も値上げを行なったが、それでも買い手の需要は強いという。価格は幅広く、同社では1万ドルのティアドロップ型トレイラーから100万ドルのディーゼル・モーターホームまでさまざまなRVを扱っている。
RV用部品の製造最大手LCIインダストリーズのジェイソン・リペットCEOも、サプライチェーン問題の継続で価格が上がっても、消費者の需要がすぐに下がることはないと見ており「2台目、3台目を購入する人は価格についてもう少し考える可能性があるが、初めての購入者は18年や17年に何がどんな値段だったか知らない」と指摘した。
価格上昇の影響としては、ガソリン高騰が最終的に業界の逆風となる可能性はあるが、業界団体リクリエーション車協会(RVIA)の広報担当者によると、RVの多くは長距離でなく短距離旅行やテールゲート・パーティーに使われているため、今のガソリン価格がすぐに業界の成長を妨げることはないというのが大方の予想だという。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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