人材不足が深刻化するなか、多くの会社では昨今、人材獲得の武器として技術環境の充実を強調する方法を強めている。
倉庫内のピッキング(つかみ上げる)作業を支援する拡張現実(AR)技術ソリューションを提供するピカヴィ(Picavi)の米国事業CEOのカーステン・ファンキ氏は、フォーブス誌に寄稿した記事のなかで、人材資源(HR)担当者らが技術活用を強化して人材採用に革新をもたらしていることを報告した。
それによると、新型コロナウイルス・パンデミックの発生以来、多くの会社では、突如として需要の高まった職能分野で労働力を拡充するために大量の従業員を新規に採用してきた。そのため、各社におけるHR部門の相対的地位が高まり、責任も拡大した。
その結果、技術調達の意思決定においてHR部署が人材獲得の観点から存在感を強めている。多くの会社では技術調達に際して、技術や業務推進、物流、調達、財務が影響力を持つのが一般的だが、そこにHRが加わるようになった。
HR部署は現在、2~3年前までには考えなかったような革新的方法によって、人材採用と従業員関係拡充に技術を役立てる必要に迫られている。たとえば、働きたい職場として従業員らが自身の勤務先を推薦する動画をティックトック(TikTok)で紹介するといった方法がある。
ファンキ氏は、人手不足が特に深刻な分野の一つである倉庫作業員の求人の場合、グーグル・グラス(Google Glass)を装着して商品を取りに行って梱包する一連の過程を、まるでダンスであるかのように楽しい活動として訴求することができる、と紹介した。
同氏は、ゲーム感覚の職場体験を紹介するほど若い世代の労働者を引きつけやすい、と指摘する。若い世代は幼少時からビデオゲームを娯楽にしてきた。ゲームに似た技術を使ってできる仕事のほうが、その世代にとって親しみやすく定着率も高まるという。
2021年に始まった「大量退職(great resignation)」と言われる現象を受けて、人材の獲得と維持はこれまでになく重要になっている。HR部署が技術調達の意思決定に関与する動きは今後さらに顕著になるとみられる。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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