小売サイトにも障害者法の適用を 〜擁護団体の訴えを認める判決が増加
- 2013年4月29日
- ハイテク情報
小売サイトも身体障害者が簡単に買い物できるようアクセスを改善する義務がある、と主張して擁護団体が訴えを起こす例が増え、裁判所もそれを認めるようになっている。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、あらゆる分野で障害者への差別を禁じ、機会の均等を保証した1990年の連邦障害者法(ADA)は、レストランや小売店、映画館といった実社会でのサービス利用には言及しているものの、ウェブサイトについては公共施設としてその義務が言及されていない。法案が審議された当時は、インターネットがまだ普及していなかったためで、最近まではほとんどの裁判所が小売サイトをADAの対象外とみなしてきた。
しかし、2008年に、全米視覚障害者連合(NFB)が量販チェーン大手のターゲットを訴えた裁判で、連邦地裁は初めて「ウェブサイトが実店舗への玄関口的な役割を果たしている場合にはADAが適用される」という判断を下した。
2012年7月には米聴覚障害者協会(NAD)が、障害者向けに字幕を提供するよう求めて動画逐次再生サービス最大手のネットフリックスを訴え、主張内容が認められた。ネットフリックスは、2014年までにすべてのコンテントに字幕を入れる対応策に合意し、NADはほかの動画逐次再生サービス提供会社とも字幕提供を交渉している。
司法省でも、ウェブサイト利用に関する新しい規則を2013年中に発表するとみられ、今後はインターネットのADA適用範囲の見解が大きく変わる可能性がある。
インターネットにADAが適用されれば、ウェブサイトは視覚障害者向けに音声による写真や文章の説明、聴覚障害者向けには字幕を提供することが義務付けられる。
さらに、動作が不自由な人には、マウスを使わずに操作できるサイト設計や、認知または知的障害者のために分かりやすい言葉や明確なデザインを提供することも必要になってくる。
自身も視覚障害者であるNFBのアクセス技術担当者アン・テイラー氏は、使いにくいサイトで買い物すると、名前やクレジット・カード情報、住所を入力する場所が分かりにくいと指摘する。
求人情報サイト16件を対象に2012年に実施された調査では、視覚障害のある求職者はサイト利用時間の3分の2で助けを必要としていることが分かった。
障害者にも使いやすくするためのコストは、ウェブサイト設計の複雑さにもよるが、既存サイトを後から調整するとサイト運営コストの約10%に達する。一方、サイトの定期的更新に合わせて行えば1〜3%程度で済むという(SSBバート・グループのティム・スプリンガー最高経営責任者)。
NFBによると、イーベイ(eBay)やモンスター(Monster.com)、トラベロシティ(Travelocity)、チケットマスター(Ticketmaster)ではNFBと協力して、障害者向けにサイトの使いやすさを改善している。
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