送電網に依存しないデータ・センター 〜TDCがデラウェアに建設
- 2013年5月23日
- 環境ビジネス
送電網から電力を調達しないデータ・センターの開発プロジェクトが進められている。
データ・センター・ノーレッジ誌によると、同プロジェクトを手がけるザ・データ・センターズ(The Data Centers=TDC)は、10億ドル以上を投じてデラウェア州ニューアーク近くに新たなデータ・センターを建設中で、独自の電源設備を敷地内に建設する計画だ。現在、最初の2段階の建設が終わっており、その時点での建設費が約4億ドルという大型事業だ。光ファイバーも敷設され、床面積は約90万平方フィートに達する。
同データ・センターの最大の特徴は、送電網の電力から独立した自前発電施設を整備するだけでなく、逆に電力を販売して送電網に送り込む点にある。
発電設備は天然ガス・タービンと蒸気タービン、ガス・エンジンで構成される。イースタン・ショア・ナチュラル・ガス(Eastern Shore Natural Gas)と協力して、独立した2本の天然ガス供給ラインを敷地内に引き込むことで、無停電を確立する。
「敷地内の電熱併用(コージェネレーション)およびトライジェネレーション(熱源から生産される熱と電気に加え、発生する二酸化炭素も有効活用する電力供給システム)を使って、最高水準のエネルギー効率を達成する」「送電網に頼らず『島』のように稼動できるデータ・センターだ」と、TDCのブルース・マイアット最高技術責任者は話す。
ガス・タービンと蒸気タービン、さらに吸着式冷却装置を互いに補助できるように設置し、余剰電力を送電網に供給して需要反応を支援する。「コストを抑えるために、ガス供給の長期契約を確保する」とマイアット氏は説明。
このデータ・センターの建設用地には、デラウェア大学のSTAR(Science, Technology and Advanced Research)キャンパスの一部を賃貸する。TDCは、投資銀行から建設費用の半分以上を調達するめどを付けている。
STARキャンパスは272エイカーの敷地で、クライスラーが2009年に破産した際、デラウェア大学が買い取った。TDCが借りるのはそのうちの43エイカー。これまでに、燃料電池を開発するブルーム・エネルギーがSTARキャンパスの一部を賃貸している。
TDCのデータ・センターは2014年後半に稼動する予定で、デラウェア大学を含む3件の顧客が入居をすでに決めている。
TDCによると、同データ・センターでは約370人を常勤雇用し、顧客企業や納入業者といったほかの組織の雇用者90人以上も勤務する見込み。
今回の開発に際しては、デラウェア州が基盤整備用に750万ドルの補助金を拠出した。同資金は、天然ガスと水道を敷地内に引き込むのに使われる。また、同資金で変電所も新設する。その変電所はニューアーク市が保有することになる。
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