政府の保健事業、糖尿病患者の心臓病リスク減らせず

 国立衛生研究所(NIH)が肥満の糖尿病患者を対象に実施した減量促進事業は、患者の心臓疾患の抑制にはあまり効果がなかったことがブラウン大学アルパート医学校(ロードアイランド州)の調査で分かった。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、「Look Ahead(先のことを考えよ)」と呼ばれたNIHの事業は、2001年から13年間の予定で始まったが、心臓疾患の発症を減らすという目標が達成できない見通しとなったため、約10年間で打ち切られた。

 事業の対象は、01年に2型糖尿病を患い、太り気味または肥満で年齢が45〜75歳だった約5200人。約2600人ずつを、1)運動やカロリー制限などを厳しく指導されるグループ、2)栄養や運動についてカウンセリングで軽く指導を受けるグループに分け、厳しい減量指導が心臓発作や脳卒中の減少にどの程度効果的かを調べた。厳しく指導されたグループは、最初の半年間毎週カウンセラーと会い、 週175分の運動と1日1200〜1800キロカロリーの食事を指示された。軽い指導のグループは年3回のカウンセリングから始まり、運動やカロリーの目標値は指示されなかった。

 どちらのグループも時間の経過とともにカウンセリングの頻度を減らされた。この結果、1年目は、厳しく指導されたグループが体重の8.6%、軽い指導のグループは0.7%を減量したが、調査が打ち切られた時点の減量率は6%と3.5%で、2.5ポイントの差は心臓疾患リスクに違いがあると結論づけるには不十分と判断された。

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