火力発電所の石炭使用量増える〜CO2排出量も増加へ

 火力発電所の燃料として石炭の使用量が増えていることが、エネルギー情報局(EIA)の最新統計で分かった。米国の温室効果ガス(GHG)の排出量が再び増える可能性が高まっている。

 ロサンゼルス・タイムズによると、国内の火力発電所の燃料の内訳は、2013年1〜4月に石炭が平均39.5%となり、前年同期の35.4%から拡大した。これに対し天然ガスは29.5%から25.8%に縮小した。天然ガスの価格が上昇し、石炭の価格が低下しているためで、石炭の比率は今後も上昇を続け、14年までには40.1%に達し、天然ガスは約27.3%になると予想されている。

 火力発電所はGHGの最大排出源。EIAは、石炭使用量の増加によって、12年に約3.9%減少していた化石燃料由来の二酸化炭素(CO2)量が13年は2.4%増加し、14年もさらに0.6%増加するとみている。

 約10年前、石炭火力発電所は全米発電量のほぼ半分を占めていたが、新開発のフラッキング(水圧破砕)技術による天然ガス生産ブームでガス価格が低下したため、12年4月には石炭と天然ガスの構成比がそれぞれ3分の1で並んだ。しかしその後、需要低下に伴って石炭の価格が下がり、逆に天然ガスの価格は上昇した。

 多くの電力会社が天然ガスと石炭の両方の発電所を持っているため、今後しばらくは値段を見ながら安い方を多く使うといった形で燃料の併用を続けるとみられる。ただし、石炭火力発電所は、水銀の排出量削減を目指した新規制によって小規模で古い施設の多くが閉鎖される可能性が高いため、以前のように石炭が燃料の50%を占めることはないとみられている。

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