フラッキング施設も浸水〜コロラド大洪水、安全懸念が浮上

 コロラド州ボールダーやデンバーなどで今月中旬に発生した洪水で、フラッキング(水圧破砕)技術を使った石油や天然ガスの採掘施設も数多く浸水被害に遭っている。

 オイルプライス・コムによると、今回の洪水では少なくとも8人の死者や多くの行方不明者が出ているほか、家屋は2万件近く、橋は50本が流され、1万人以上が避難を強いられている。

 石油・ガス井の周辺では貯蔵タンクが水に浮いている写真なども報道されており、フラッキングに反対する団体イースト・ボールダーカウンティ・ユナイテッドの広報担当者によると、少なくとも数百件の採掘施設が水に浸かり、大量の水と混じって有害な物質が漏れ出している恐れがある。

 石油・ガス業界は施設に対する洪水の影響を否定しており、コロラド石油ガス協会のタイシャ・シュラー代表は「洪水の間はすべてのフラッキング施設が閉鎖されていたため、大きな問題はなく、影響を受けた施設はない」と断言した。

 しかし、パイプラインの少なくとも1カ所が破損して石油が漏れ出したことが確認されており、インフラへの影響は今後さらに多く判明するのではないかとみられている。

 この一帯で石油・ガス施設を運営するエネルギー大手の一部は施設の一部を遠隔操作で行っており、アナダルコ石油は洪水発生に伴い石油・ガス井600カ所を閉鎖し、関連地域の掘削業務をすべて停止した。またノーブル・エナジーは州内施設の10%、エンカナ石油・ガスは約400カ所、PDCエナジーは100カ所以上を閉鎖した。

 コロラド州北部のニオブララ地層には2万本以上の石油・ガス井がある。

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